過去にないほどの盛り上がりを見せた、第10回全日本女子ボクシング選手権大会(2月8~11日、広島)。ロンドン五輪で初めて採用されるこの競技の予選代表選考も兼ねた重要大会に、プロの世界戦をもしのぐ数のメディアがかけつけた。
そのお目当てはミドル級に出場したタレント山崎静代だったが、この日一番の見ものはフライ級決勝だった。男子の村田諒太とともに五輪のメダルに最も近いと期待される新本亜也と、ライバルの箕輪綾子が2分4ラウンドをフルに打ち合い、わが国女子ボクシング史上に刻まれるべき名勝負を演じたのである。
対戦成績が1勝1敗と実力伯仲の両者、しかも今回は五輪予選の出場権のかかった一戦だけに燃えないはずがない。技術レベルが高く気持ちの強い者同士は、2匹の小さなタイガーのように最後まで死闘を展開した。何度も同じタイミングでベストショットを放ち合い、どちらかが倒れてもおかしくないブローもあったが、ともによく踏み留まった。この日は箕輪がより相手を研究し、初回から返しの左フックを有効に決めたのが勝負を分けた。結果は20-17と小差での勝ち。
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photograph by BOXING BEAT