トヨタ・クラブW杯のアンバサダーに就任した2人は、
16年ぶりに再会を果たし、父と息子のように濃密な時間を過ごした。
ペレ やあ、久しぶりだね。元気かい?
カズ 日本でお目にかかることができて光栄です。
ペレ 僕のことをセニョール(敬称)で呼ばなくていいよ。普通にヴォセ(あなた)で話そう。ところで、カズ。君と最後に会ったのは……。
カズ イングランドでした。'95年、アンブロカップの日本代表対スウェーデン代表の試合前、日本のロッカールームに突然、あなたが現れた。
ペレ ああ、そうか。あの大会にはブラジルも出場していたから、僕はプロモーションでイギリスに行っていたんだ。
カズ あれからもう16年です。あなたに初めて会ったのは確か'85年の暮れでした。サントスの更衣室でシャワーを浴びた直後のあなたに出会った。もう25年以上前のことです。
ペレ 僕はコマーシャルの撮影で(ニューヨークから)サントスに戻っていたんだ。そうそう、サントスは僕らのチームだよね。
僕がサントスに入ったのは15歳の頃。それから約20年、サントス一筋でプレーしてきた。レアル・マドリーを始め、イタリア、ドイツなどヨーロッパのビッグクラブからたくさんのオファーが来ていたにもかかわらず。
カズ 当時は、ブラジルのクラブに勢いがあって、とてもよかった時代ですね。
ペレ そう。サントスほど魅力的なチームから他のチームに移籍しようなんて考えもしなかった。まさにサントスは僕の愛するチームなんだ。
カズ 僕にとってもプロとしての出発点となったクラブで、今でも特別な思いを抱いています。
ペレ 当時のブラジルは今よりも、もっとタレントがたくさんいた。そんな中でカズは名門サントスを始め複数のクラブでレギュラーとして試合に出場した。それこそがカズのクオリティの高さの証だ。しかもブラジル人の中で、ただひとり日本人としてプレーしたんだからね。
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています