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その時はあまり大きく報道されなくても、歴史的価値から見れば大ニュースという出来事は時々あると思うが、4月23日と24日、全日本体操選手権で見せた内村航平(KONAMI)の演技はまさにそのようなものだった。技の難度、完成度とも文字通り世界の最高峰。特に6種目合計で94.900を出した初日の演技は、ロンドン五輪の個人総合金を期待させるに十分であっただけでなく、体操の歴史における記念碑と言っていいほど、別格の演技だった。
体操の採点において、10点満点が廃止され、現在のルールになったのは'06年のこと。それ以降も小さなルール変更はあったが、男子の場合、1種目15点(跳馬のみ16点)というのが世界の一流選手の基準になっている。6種目で15点なら合計90点だから、個人総合では90点というのが、世界大会でメダルを争う条件と言っていい。内村が今回記録した94.900は、彼自身の自己ベストだったが、これには特別な事情もある。というのも、日本体操協会は、国際ルールにプラスする形で、国内の試合でのみ適用する採点ルールを採用しているのである。これは日本の弱点克服を目的に採用された制度で、日本選手が苦手にしている技に、国際ルールより0.1から0.2程度、高い点数を与える規則になっている。具体的に説明すると、次のようなものだ。
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photograph by Jun Tsukida/AFLO