結果が残せず、失意のまま幕を閉じた昨シーズン。「失敗は繰り返さない」と、決意を新たにする浅尾美和が今だから語れる昨年の反省、そして今シーズンに懸ける思いとは。
春の陽だまりを思わせるベージュ色のシートの前に、白いスポーツウエアを身にまとった浅尾美和が立っている。シャッターが切られるたびに、シートに反射したストロボの光が容赦なく浅尾の全身にふりかかる。
「もういい大人になりましたよ」
撮影中、そう言って落ち着きのある笑みをもらした浅尾は、2月2日で25歳になった。'06年、『ビーチの妖精』という愛称でブレイクして以来、女子スポーツ選手の中でも高い人気を維持し、いたるところでフラッシュを浴びてきた。
「私がグラビアなどの仕事をして注目してもらうことで、たくさんの人たちにビーチバレーに興味を持ってもらえるとうれしい。その期待に応えていきたい」
当時は、まだ20歳になったばかりだった。エネルギッシュで大きな可能性を秘めた浅尾の言葉は、すぐさま現実のものとなった。「浅尾が動けば、メディアも動く」と謳われ、それまで陽の当たらなかったビーチバレーは、浅尾の動向が報道されることで一気に広まったといっても過言ではない。
撮影の合間、そんな若き日の思い出話をふると浅尾はためいき交じりに言った。
「もう……、世間の方々はビーチバレーというスポーツがあることを分かってくれたと思うし……、私の役目はもういいんじゃない?って昨年は思ったこともありました。勝ってもいないのにメディアで取り上げなくてもいいのにって」
そんな想いが渦巻いていたという昨シーズンは、浅尾にとってこれまで味わったことのない、もがき苦しんだシーズンだった。
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photograph by Miki Fukano