大学駅伝3冠を狙う臙脂のWと、箱根3連覇を目指す鉄紺のTU。
新春の箱根路では早稲田と東洋、戦力が充実した両雄が激突する。
将来性豊かな駒澤が隙を窺うなど、高次元の展開が期待されるレースを、
各校の監督が描く戦略から読み解く。
新春の箱根路では早稲田と東洋、戦力が充実した両雄が激突する。
将来性豊かな駒澤が隙を窺うなど、高次元の展開が期待されるレースを、
各校の監督が描く戦略から読み解く。
12月10日。この日は箱根駅伝にとって重要な一日だ。各大学が16人の選手をエントリーし、恵比寿ガーデンプレイスで記者発表、懇談会、そして一般のファンに向けた監督たちによるトークバトルと、時が刻まれていく。
懇談会ではアルコールもふるまわれ、監督、役員、スポンサー、メディアの人間が談笑し、そして密談する。会場にはいくつか輪ができるが、その真ん中にいるのは実力上位校の監督たち。その中でもいちばん大きな輪を作ったのは、早稲田の監督、渡辺康幸だった。
今季、スピードが要求される出雲、箱根の前哨戦となる全日本で優勝し、「駅伝3冠」を狙う早稲田が久しぶりに箱根の主役になるのでは、と見られている。これまで3冠の達成校は'91年の大東大、'01年の順天堂大と10年置きに誕生しており、早稲田は史上3校目の偉業に挑戦する。
渡辺は去年よりだいぶ体が絞れた印象だ。監督、痩せたでしょう? と質問する。
「去年より10kg落としました。学生に自分が何かに真剣に取り組んでいるところを伝えたかったんです。で、僕も走ろうと。これまでは走りだすと体重のせいでケガをして続けられなかったんですが、今回はあらかじめ水泳と食事で5kg落としてから走り始めました」
残り1カ月を切ってからの準備がもっとも重要な箱根駅伝。
所沢キャンパスに出向くと、練習後に選手と走る渡辺の姿が見られる。出雲、全日本での勝利は監督として初の勲章。それが指導者としての自信になったのは疑いようがない。しかし胴上げは封印した。
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photograph by Jun Tsukida/AFLO