9月9日、ロシアで開催されたレスリング世界選手権で女子55kg級を制した吉田沙保里は、「優勝してみたら、気持ちいいですね」と意外そうに感激を言葉にした。実際に体験しなければ言葉にしない、吉田らしい世界大会10連覇への感想だった。そして「でも、完璧とはほど遠い。これからも、攻める気持ちを忘れずにいきます」と試合を振り返った。
今回も吉田を現地で見守っていた母の幸代さんは、娘に「さおちゃん、おめでとう」といつもと同じ言葉をかけた。一歩一歩、夢に向かっていく娘には、もっともふさわしいと思ったからだ。
最強と呼ばれたカレリンの世界大会12連覇超えが現実的になり、いまや吉田は世界中から注目を浴びる存在だ。そんな吉田の試合を、母は「楽しみでもあるけれど、早く終わってほしい」と指が白くなるほど両手を握りしめながら、見つめていた。勝つと信じていても、試合では、緊張で息が詰まりそうになるという。
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