21歳の日本人MFが今、ドルトムントで一際、注目を集めている。
入団当初は「神童」「アジアのロシツキー」と紹介され、プレシーズンで
ゴールを連発すると「極上の寿司」と称された。
サポートメンバーとして臨んだW杯で、悔しさと衝撃を味わった若武者は、
日本の未来を担うべく新天地で化けようとしている。
入団当初は「神童」「アジアのロシツキー」と紹介され、プレシーズンで
ゴールを連発すると「極上の寿司」と称された。
サポートメンバーとして臨んだW杯で、悔しさと衝撃を味わった若武者は、
日本の未来を担うべく新天地で化けようとしている。
順調な滑り出しである。
ホームのシグナル・イドゥナ・パルクでのデビュー戦となったマンチェスター・シティとの試合で先制点につながるPKを獲得し、決勝ゴールも決めた。プレシーズン中の3試合連続ゴールにより、早くもチームメイトの信頼を得たと言ってよいだろう。
ドルトムントへの加入が決まったときから高い評価を受けていた香川真司への期待は膨らみ続けている。新聞を開けば、雑誌を開けば、KAGAWAの文字が躍っている。ゴールを量産する21歳の日本人MFは、同世代の選手が6人もレギュラーに名を連ねる若いチームの中で一際、注目を集めている。実際、ドルトムントの試合を取材していると、周囲のドイツ人記者から何度も声をかけられた。
「ゴールを決めたカガワについて教えてくれ! 彼はW杯でもプレーしたんだろう?」
J2得点王になったことを始め、香川が多くのゴールを決めてきたことはドイツでも報じられており、「スポーツビルト」誌のW杯特集号では、香川が日本のスタメンを張ると予想していた。
サポートメンバーとしてW杯に帯同したが、登録メンバーから外されていたことを知ると、彼らは驚きを隠せない様子だ。
「どうしてなんだ?」
はがゆさを噛みしめながら日本代表に帯同した南アW杯。
W杯について香川は、こんな風に振り返る。
「選手だけでミーティングを開いて、『何としても勝つ!』というムードが生まれていった準備期間を味わえたのは良かったですよ。でも、W杯が始まって、チームが勝っていくのを見ると、悔しかった。予想以上に、メンタル的にきつかった。(ストレスも)発散できないから、耐えるしかないというか……」
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photograph by Daisuke Nakashima