4試合で僅か2失点。安定した守備陣を統率した
闘将の心の支えになったのは家族の存在だった。
ブラジル、南アで見守った彼らにもドラマがあった。
闘将の心の支えになったのは家族の存在だった。
ブラジル、南アで見守った彼らにもドラマがあった。
ブラジルのこんな田舎町に生まれた孫が日本のお役に立てるなんて……。これ以上の喜びはありません。南アフリカに向けて日本を出発する前、あの子が私に電話をくれたんです。日本でお世話になってきた方たちのために頑張ってきて。そう伝えたら、「わかった、ばあちゃん」と答えてくれました。
私が持っている日本代表のユニフォームは、孫がくれたものです。日の丸もこの町では売っていないので、布を買ってきて、自分で作りました。周りの人が持っている日の丸も、頼まれて私が1枚ずつ縫ったんです。そうですね……。全部で15枚くらいでしょうか。
「ヴァモス・トゥリオ!」「ヴァモス・ジャポン!」
6月24日ブラジル、パウメイラ・ド・オエスチ。この町にある最も大きいレストラン「サベラナ」は200人を超す住民たちがつめ掛け、超満員だった。店の奥には巨大スクリーンが用意され、ワールドカップが中継されている。集まった人々の中には、「必勝」と漢字で書かれた鉢巻を締めている人もいた。
しかし、画面に登場した選手たちは、ブラジル国民の誇りであるセレソンではなかった。そこにはこの町で生まれ、海を渡り、そして日の丸を背負って欧州の強豪国と闘う、ひとりの選手の姿があった。
FIFAアンセムと共に選手たちが入場し、君が代が演奏され、髪を後ろで束ねた長身の若者がスクリーンに大きく映しだされると、レストランにいる観客たちは口々に彼の名を叫びはじめた。
「ヴァモス・トゥリオ(行け、闘莉王)!」
「ヴァモス・ジャポン(ガンバレ、ニッポン)!」
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photograph by Naoyoshi Sueishi