#752
巻頭特集

記事を
ブックマークする

可夢偉&ザウバー、かく戦えり。~パドックで聞いた苦戦の真相~

開幕戦のバーレーンGPを経て、舞台は第2戦オーストラリアへ。
日本人ドライバーの小林可夢偉を擁し、今季初の入賞を目指して戦い続けた、BMWザウバーF1チームの3日間をレポートする。

■March.26 fri フリー走行

 メルボルン市街、アルバートパークの特設サーキット。ザウバーのパドックでは、白いシャツと濃紺のパンツを身に纏ったスタッフが、ひっきりなしにガレージに出入りしている。フリー走行を数時間後に控えているとあって、周囲には張り詰めた空気が漂う。

 今季、小林可夢偉は、このスイスの古豪と命運を共にする。ザウバーというチームに、彼の存在はどう映っているのか。そして彼らは可夢偉と共に、19戦に及ぶ長丁場をいかに戦っていこうとしているのだろうか。

 最初に取材に応じてくれたのは、チーム代表のペーター・ザウバー。芝生の上に置かれたチェアに腰を降ろすと、こちらの目をしっかりと見据えながら質問に耳を傾ける。

――可夢偉と契約した理由から教えて下さい。

「普通、新しいドライバーを起用する場合にはテストをするが、カムイとはテストをせずに契約を結んだ。昨季の最後の2レースは、それだけインパクトが大きかったからね」

――あなたは過去に、多くの名ドライバーを育て上げてきました。ということは昨年末の時点で、可夢偉も彼らと同じ能力を持っていると判断されたということですか?

「いや、その手の判断を下すのは早すぎる。我々はまだ1戦しかこなしていないし、若いドライバーに多くを求めるのは酷だ。しかも一昔前と今とでは、ドライバーに必要とされる資質もずいぶん違う。ライコネンやマッサ等と単純に比較するのは無理だよ」

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Kozo Fukuoka

0

0

0

前記事 次記事