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「おい、クマだ、クマだ」小便中にヒグマと遭遇…その後の惨劇「思い出すと、夜も眠れない」3人が死亡した襲撃事件の生存者(87歳)が抱えるトラウマ
posted2026/10/28 11:02
エゾヒグマ(画像はイメージです)
text by

伊藤秀倫Hidenori Ito
photograph by
JIJI PRESS
2025年、日本におけるクマによる人身事故の被害者は238人、そのうち13人が死亡した。いずれも統計開始以来、最悪の数字である。なぜ、クマは人間の生活圏に侵入し始めたのか? 実際に起きた襲撃事故について、ハンターや遺族、研究者など関係者の証言を集め検証した『羆を撃つ』(著:伊藤秀倫、文藝春秋)より、3名が死亡し、当時大きな話題を集めた「福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件」の章を抜粋して紹介する。《全2回の前編/後編につづく》
◆◆◆
〈クマに襲われ三人不明――日高山系縦走の福岡大パーティー〉
1970年7月28日、北海道新聞に衝撃的な見出しが躍った。リードはこう続く。
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〈日高山系を縦走中の福岡大学ワンダーフォーゲル部のパーティー五人がクマに襲われた。二十五日午後から二十七日朝まで、逃げる学生たちに執ようにつきまとい、次々と鋭いツメを振るってうち三人が行方不明となっているが、身のたけ二メートルという狂暴な大グマだけに、その安否が気づかわれている〉
だが学生たちの家族や関係者の祈りも空しく、事態は最悪の結末を迎えることとなった。
ヒグマに襲撃された“もう一つのグループ”
悲劇の舞台となった山の名は、「カムイエクウチカウシ山(以下カムエク山)」。
アイヌの言葉で、「カムイ(神=熊)」が崖から転がり落ちるところ、の意だという。
この事件については、福岡大学ワンダーフォーゲル同好会による詳細な事故報告書(「北海道日高山脈夏季合宿遭難報告書」)があり、また専門家による検証記事も少なくない。
一方で事件当時、カムエク山には、福岡大学以外にも、北海学園大学、帯広畜産大学、鳥取大学、中央鉄道学園など複数のグループが入っていたことは一般にはあまり知られていない。
とりわけ注目すべきは北海学園大学のグループだ。
実は彼らもまた、福岡大学のメンバーが襲われる前日、同個体と思われるヒグマに遭遇している。そして襲撃を受けながらも、犠牲者を出すことなく難を逃れているのだ。
二つのグループの明暗を分けたものは、いったい何だったのか。
