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「このままズルズル普通の選手になるのかな」“消えかけた天才”東農大・前田和摩が箱根予選会で見せた新しい姿「彼は日本最高のランナーですから!」
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byKeiji Ishikawa
posted2026/10/18 17:02
箱根駅伝予選会、終盤まで日本人トップを争う走りを見せて出場権獲得に貢献した前田。ラストイヤーに箱根路で真の力を見せられるか
山下りの6区以外であれば、どこでも走る準備をしているが、希望するのは前回に引き続き、花の2区。留学生に負けず、区間賞争いをすることを誓う。ヴィクター・キムタイ(102回大会、当時城西大4年)が持つ区間記録の更新も視野に入れている。
「やっぱり、エースが集まる2区で結果を出したい。走りがいのあるコースです。4年目だからすべてうまくいくわけではないですが、実力で手繰り寄せた本戦出場。何とか良い形で締めくくりたい。その先もありますから」
箱根駅伝はゴールではない。ターゲットは世界陸上、オリンピックの入賞であり、メダルの獲得。実業団に入れば、2〜3年はトラックレースに打ち込んだあと、マラソンに挑戦するつもりだ。10000mで27分05秒92の日本記録を持つ鈴木芽吹(トヨタ)らも意識するライバルになるが、矢印は内側に向けている。
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「自分は自分のするべきことをするだけです。26分台が目標。日本人で最初に出せれば、いいですね。僕よりもたくさん練習している人たちに先を越される可能性はありますが、ブレずにやっていきたい。継続して練習を積んでいけば、強くなる自信はあります」
監督も「彼は日本最高のランナー」と断言
ロサンゼルス五輪への出場もあきらめていない。誰よりも前田の秘めたポテンシャルを信じているのは、東農大の小指徹監督。普段の取材は静かな口調で話し、ほとんど大きなことも言わないものの、前田の話題になると、言葉が熱を帯びてくる。
「実業団の選手たちも、前田には誰も勝てないと思います。大学時代は故障で苦しみましたけど、社会人になれば、本来の実力を発揮し、日本一になってくれるはずです。彼は日本最高のランナーですから。マラソンで日本人初の2時間3分台を出すのも前田です」
現在、大迫傑が持つ2時間4分55秒の日本記録を飛び越えていくと信じて疑わない。本人に恩師が絶賛していることを伝えると、柔和な笑みを浮かべ、大きく否定はしなかった。
「(2時間3分台を出す)そのつもりでいますけど、現実をしっかり見つつ目標を立てていきます。行く行くは、そこにたどり着きたいですね」
焦らず、じっくり、世界の前田になっていく。立川で箱根予選会の報告会を終えると、未来のスター候補は多くのファンに取り囲まれ、照れくさそうに慣れない写真撮影に応じていた。


