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「こんだけやっても無理か」敗者・那須川天心にあった“3つの誤算”…なぜジャッジは井上拓真を支持したのか? 勝敗を分けた「ダウン後の“2分30秒”」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2026/09/28 17:10

「こんだけやっても無理か」敗者・那須川天心にあった“3つの誤算”…なぜジャッジは井上拓真を支持したのか? 勝敗を分けた「ダウン後の“2分30秒”」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

WBC世界バンタム級王者・井上拓真との再戦に敗れた那須川天心。7回にダウンを奪うも、ジャッジは3者ともに拓真を支持した

 かくして拓真は言葉通り、ロープを背負いながらダッキングやスウェーでパンチをかわし、時にカウンターを打ち返しながらこのピンチをしのぐ。とはいえ勢いがダウンを奪った那須川にあったのは間違いない。ここで流れを引き寄せられなかったことが、那須川の3つ目の誤算だったのではないだろうか。

 8回、拓真はゴングと同時に前に出た。

「父に“やり返してこい”と言われ、自分もダウンを取られてポイントをピックアップしなくちゃいけないことが分かっていたので、8ラウンドは前に出ました」(拓真)

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 ここで主導権を握られるとあとあと苦しくなる。勝負所と見た拓真は自ら仕掛けた。一方の那須川は倒しにいくというよりは迎撃態勢に入り、やや受けに回った印象は否めず、このラウンドを落としてしまう。もったいない場面だった。本人は「あそこでポイントを取られたのは自分でもなかなか理解できないところではあります」と振り返ったが、ここが試合の流れを決める分岐点となった。

眉間にしわを寄せて「難しいです、ボクシング」

 8回を終わっての公開採点は、1人が76-75で那須川、2人が77-74で拓真にポイントをつけ、拓真がリードを保つ結果となった。浜田代表曰く「予想よりも差が開いた」。やはり8回を失ったのが痛い。陣営の見立てはまたも狂ってしまったのである。

 終盤、那須川は「もう1回倒してこい」という指示のもと、気持ちを前面に押し出して果敢にパンチを振り下ろしていった。気迫に満ちていた。しかし、ディフェンスのいい拓真をとらえることはなかなかできない。逆に細かいパンチを被弾するシーンが増えてポイントを失ってしまう。最終スコアは1人が114-113、2人が116-111でいずれも拓真に軍配が上がった。

 記者の質問に応じる那須川の眉間にはずっとしわが寄っていた。

「難しいです、ボクシング。こんなに難しいのかと思いますね。倒すだけがボクシングじゃないんだ、ダメージだけがボクシングじゃないんだ、ちょっとしたポイントだったり、優位に見せたりとか、そこの学びが必要なのかなと思いましたね。経験の差? 経験なんですかね、実力不足でしたね」

【次ページ】 同じ相手に2連敗…それでも証明した実力

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