甲子園の風BACK NUMBER
「甲子園の光は眩しすぎた」池田高校優勝メンバーの告白「蔦さんも燃え尽きだったのか…」高校野球の神様・蔦文也監督に起きた“一つの悲劇”とは?
posted2026/09/11 17:50
ノックを行う池田高校・蔦文也監督
text by

谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph by
Sankei Shimbun
名門・池田高校はなぜ甲子園から“消えた”のか? 蔦文也は本当に名監督だったのか、それとも――? “高校野球界最大の謎”を追ったミステリーノンフィクション『監督、神になる 池田高校 記憶の衝突』(著:田中仰)が発売即重版となり、大きな話題を集めている。
今回NumberWebでは、『体罰と日本野球 歴史からの検証』の著者で、部活動や地域スポーツを専門とする高知大学の中村哲也准教授との対談が実現した。高校野球の常識を変えた池田高校の先進性、そして現在も続く“甲子園の課題”とは?【全3回の最終回/第1回、第2回も公開中】
今回NumberWebでは、『体罰と日本野球 歴史からの検証』の著者で、部活動や地域スポーツを専門とする高知大学の中村哲也准教授との対談が実現した。高校野球の常識を変えた池田高校の先進性、そして現在も続く“甲子園の課題”とは?【全3回の最終回/第1回、第2回も公開中】
◆◆◆
――本を読み進めていくと、蔦さん自身に燃え尽きがあったような印象を受けました。
田中 一つには「英雄化」という問題がある気がします。私も正直、英雄譚のようなものに惹かれる部分はある。生きていれば、何かしらの理想を欲する。ただ、英雄化は、ある種の幻想を纏う。甲子園の感動や青春というものにも幻想が伴いますよね。同時に、優勝してヒーローにまでなれば、高校生も監督も眩しすぎるほどの光量を浴びる。しかし、卒業すれば、幻想が幻想であったことに、気づかざるを得ない。
ADVERTISEMENT
――選手も同様で、池田高OBの森桂一郎さんの「甲子園の光は眩しすぎた」という発言も印象的でした。
田中 そうですね。甲子園もそうですが、池田で街のヒーローのようになり、練習試合に行けばキャーキャー言われた、と。森さんの場合は、優勝そのものに加えて、「池田高校で優勝した」という事実が、その後の人生において圧倒的に大きかったのだと思います。ご本人は後年、20代、30代のときに精神的にきつかった、ずっと焦燥感があった、と話されていました。
――中村さんは、甲子園でバーンアウトが起きやすい理由をどうお考えですか。
