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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「パリ五輪は兄貴と出た。本音を言えば…ロス五輪はオミと」男子バレー深津貴之コーチが“密か”に抱く弟への特別な思い「兄弟だから慣れ合うつもりはない」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byItaru Chiba
posted2026/09/09 17:01
日本代表コーチとして弟・英臣(右)をサポートする深津貴之
大一番であるアジア選手権に向けて、コーチとして果たすべき役割を遂行する貴之。だが、ふとした時に兄としての、別の感情も湧いてくる。
「オミはリオ五輪の出場権を獲得できなかった。それは、オミの中でもトラウマになっていると思うんです。どう解釈して、噛み砕いてきたかわからないけど、またオリンピックがかかる、同じ状況がやってくる。恐怖もプレッシャーもあると思うし、身体だけじゃなく心の疲れもあると思うんです。そもそも決勝へ行けるのか。結果なんてわからないですけど、僕自身もネーションズリーグを迎える時との緊張感とは違う。ちょっと、感傷的になっているのかもしれません」
パリ五輪に出場した旭弘は、本大会直前でメンバーに加わった。「五輪予選」を選手として経験しているのは英臣だけ。絶望に近い悔しさを味わった英臣の姿を兄たちは知っている。パリ五輪出場をかけた予選で勝つことの喜びと難しさの両方をコーチとして経験した貴之だからこそ、言葉に本音がのぞく。
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「もしも出場権が取れなかったら、その批判の矛先は36歳のセッターに向けられるんじゃないか、って。たとえ出場権が取れたとしても、オミも僕も来年はどうなるかわからないし、オリンピックの時にいるかどうかもわからない。でも本音を言えば、パリは兄貴と出られたけど、兄としてはロスにオミと出たい気持ちもあります。どれだけプレッシャーがかかるとはいえ、オミが消極的になるとは思わないし、選手としても信じているけど、練習中、ふとした時にオミのプレーに目が行くことが増えました。結構僕も、緊張しているんですよ(笑)」
密かに抱く兄としての思いを、弟の英臣は照れくさそうに受け取った。
「兄弟じゃないとわからないものって、絶対あると思うので……。正直言えば、一緒に勝ちたいっていう気持ちはありますよ。でも、それを表に出したら自分たちのエゴになるので出さない。思いだけは持って、でもそれ以前にこの大事な場に立つ日本代表選手として、今までやってきたことを出し切るだけです」
目指す結末にたどり着いた時、交わすハイタッチはきっと格別であるはずだ。
兄として、コーチとして。すべての思いを、手のひらに込めて。


