バレーボールPRESSBACK NUMBER

木村沙織が涙する石川真佑を抱きしめた理由…ロス五輪へ女子バレー日本代表に必要な“勇気”とは?「もっと上にいけるよ~!って気持ちです」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

PROFILE

photograph byJVA/AFLO SPORT

posted2026/09/09 11:01

木村沙織が涙する石川真佑を抱きしめた理由…ロス五輪へ女子バレー日本代表に必要な“勇気”とは?「もっと上にいけるよ~!って気持ちです」<Number Web> photograph by JVA/AFLO SPORT

キャプテンとしてチームを牽引した石川真佑(26歳)

木村 決勝戦を見ていても、タイは崩れたところから修正する能力が高いと感じました。試合は生ものなので、いくらミーティングをしていても、試合の中でその都度修正したりして、ライブで進んでいくし、展開も変わります。そこへの応用が優れていましたね。日本戦でも途中で攻撃パターンをどんどん変えてきました。日本としては、その二手、三手先をいき、だったら次はこうしよう!と駆け引きを楽しむことができていたら結果は違ったかもしれません。でも、今大会の日本はそこまでいけなかった。勝負に絶対はないけれど、普通にやれば、あのタイにも負けなかったと思います。ただ、普通に戦うことがもしかしたら今のチームには難しかったのかもしれません。予選ではなかなか調子が上がってこなかった(石川)真佑も明らかにエンジンがかかっていたし、表情も違った。よっしゃ、来た!と思ったけれど、そこに乗ってくる選手が他にいなかった。真佑はしんどかったと思います。

――勝負どころで乗り切れる材料がなかった、と。

木村 全員の調子が良ければ一番いいのですが、そうではない。みんな人間なんだから誰だってうまくいかない時もありますし、それは相手も同じです。事前にデータに基づいて準備もするし、想定した練習もします。このコンビが多いとか、そこで誰が打つことが多く、こっちのコースが多いとか。練習でもかなり丁寧に確認していました。でも、試合になると違うこともたくさんあるんですよね。そうなった時にすばやく修正ができていなかったなと感じる場面もありましたし、スタッフの指示待ちになっているように見える場面もありました。スタッフが修正の指示を出すことはもちろんですが、待っているだけじゃなく選手間でもっと対応していかなきゃいけない。バレーボールって、先に25点を取ればいいわけで、1回ミスしても終わりじゃないですし、この戦術がハマらなかったら勝てないわけではない。すぐ修正して次の戦術に切り替えていくことはできるはずなのに、それが見られなかったことはとてももどかしかったです。

ADVERTISEMENT

――タイ戦後のミックスゾーンで、すべての取材を終えた石川選手を抱きしめながら2人で涙するシーンもありました。木村さんもキャプテンとして苦しんだ経験があるからこそわかるものがある。

木村 苦しいだろうな、って。一人突っ走っても勝てるわけではない。バレーボールは助け合いのスポーツだから。みんな同じ目標を目指していますが、スピード感や温度感が微妙に違ったのかな。外から見ていても「ここだよ!」というところで、ひとつになりきれていなかったように思いました。キャプテンとしてチームを引き締めたいけど、予選では自分の数字も上がってこない状況だから強くは言えなかったかもしれません。その気持ちはすごくわかるんです。なかなか調子が上がらない時のキャプテンって、すごくきつい。そういう時に自分の思いを代弁してくれる人がいるともうちょっと真佑は助かるだろうな、とは思いましたね。

――キャプテンの代弁者がいるのは大きい。

木村 そういう意味では、この大会での収穫の一つが鴫原ひなた選手。タイ戦では、苦しい試合展開の中でコートに入り、すごくいい表情でプレーをしていて、チームにエネルギーを与えていました。鴫原選手が「真佑を助けたい」と言っているのを記事で読みましたが、その言葉がまさにプレーに出ていました。「代表は初めてだから緊張しています、と言っている場合じゃない!」という覚悟が表情にもすごく出ていました。あの時の鴫原選手のような選手がもっといっぱい出てきたらいいなって。淑乃だってあんなもんじゃないんです。もっと自分がエース!このポジションは譲りませんくらいでいい。全体的になんとなく一歩引いてしまってる選手が多いな、って感じたのは素直な感想でした。

――「一歩引いている」というのは?

【次ページ】 「誰かが勇気を出して殻を破っていく必要がある」

BACK 1 2 3 NEXT
#木村沙織
#石川真佑
#島村春世
#鴫原ひなた
#佐藤淑乃
#北窓絢音
#秋本美空
#フェルハト・アクバシュ

バレーボールの前後の記事

ページトップ