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「介錯してくれるのはコジしかいない」負傷、難病で立つのも困難に…天山広吉ラストマッチに小島聡と蝶野正洋の万感「ありがとうございました!」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAsami Enomoto
posted2026/08/25 11:02
天山広吉の引退セレモニー。狼群団、nWoでともに戦った蝶野正洋の挨拶には万感が込められていた
昨年5月に国の難病指定となっている黄色靱帯骨化症と腰椎の手術を受け、懸命なリハビリを続けながら最後のリングに立った。そして見事に、ラストマッチをやり遂げた。
蝶野からのメッセージ
真っすぐ立つのも、歩くのもままならない。
引退を決めて真っ先に電話で報告したのが、一番の師である蝶野正洋であった。その後イベントで一緒になる機会があり、終わってから蝶野の車で自宅まで送ってもらった。思うように体を動かせないなかでの引退試合に、胸にあった不安を吐露している。
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「蝶野さんが言ってくれたんです。『動けなくたって、自分をさらけ出してありのままの今の天山を見せればいいんじゃないのか』って。あの人、親身になって俺のことを考えてくれるんですよ。自分が凱旋したときに拾ってもらって、いろんなことを教わってきたから俺にとってはやっぱり一番の師匠。昔話に花を咲かせて、『天山はここまでよく頑張ったよ』と言ってもらえて、なんかもう嬉しくなっちゃって俺、蝶野さんの前で号泣しちゃって。そんなの初めてでした。『ありがとうございます』と感謝の言葉を言えたのも、良かったなって思います」
引退試合へのプレッシャーもあった。人には口にできない不安も、蝶野には自然と打ち明けられた。懐の大きい天山を、もっと大きな懐で包んでくれる人であった。
引退セレモニーには長州力、藤波辰爾、武藤敬司らレジェンドレスラーが駆け付け、代表して蝶野がマイクを握った。
「控室からリングにあがるまで歩くのがきついと思っていた。立派に歩いて立派にリングに立って、最後まで戦ったよ」
ふらつく天山を見て、椅子に座ることを促して自分も座った。
「ケガと健康を戻すためにしっかり治療とリハビリを続けてください。最後に一言、天山、ありがとうございました!」
深々と礼をする蝶野と、同じように返す天山。その絆は2人しか分かりえない。
不屈の35年間
どんな困難があろうともそれを受け入れて、前にぶつかっていった35年だった。一度逃げたら、二度と逃げなかった。逃げないファイトスタイルにも表れていた。
引退の10カウントを聞き届け、最後のコールを受けてからマットに仰向けに倒れた。立つことさえもきっと限界が来ていたにもかかわらず、歯を食いしばってやり遂げた。
不屈を貫き通して。
天山広吉、これにあり――。


