野球クロスロードBACK NUMBER
「医学部志望がメンバーに4人」福岡の公立進学校が“甲子園出場”の衝撃…それでも東筑が“野球のチーム”で挑んだワケは?「さすがに勉強に身が入らなくて」
posted2026/08/07 17:00
甲子園で先頭打者本塁打を放った東筑のキャプテン・平山護。公立進学校の雄として大舞台に挑んだが、初戦で神村学園に敗れた
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
福岡県有数の進学校。
東大など旧帝大をはじめとした難関国公立に多くの人材を送り出す名門が、夏は9年ぶりに甲子園に帰ってきた。
エピソードの多くが文武両道。
ADVERTISEMENT
普段の彼らは試合会場に向かうバスの中でも参考書を読み、ペンを走らせる選手がいるほど、隙間時間を利用して勉学に励む。
だが、甲子園では勝手が違ったようだ。
自由時間は監督の山下聖士から「各自に任せる」と言われていた。しかし、キャプテンでキャッチャーの平山護は「勉強していたのか?」と報道陣から質問が飛ぶと、求められる回答にならないだろうと、恐縮するように口ごもる。
「やっぱりこっちに来てからは勉強の時間というのは……。自分はずっと相手チームの動画を見て、どうやったら抑えられるかっていうことをずっと考えていました。自由時間ですので勉強している人は何人かいると思いますけど、自分はしていないですね」
キャプテンと同じように「甲子園モード」だったのが、センターを守る中谷遼だ。
勉強道具を揃えて臨んだものの、やはり勉強は手がつかなかった。そうでなければ勝てない相手だとわかっていたからだ。
「やっぱり、神村学園に決まったんで。自分たちと相手との力がかけ離れていたので、あまり勉強に身が入らないこともあって。チームはみんな切り替えができることが強みなので、甲子園に入ってからは“野球のチーム”として思い切ってやれたと思います」
強豪相手に1-5で敗退…見えた野球への本気度
神村学園は23年から2年連続で夏の甲子園ベスト4と、全国でも屈指の強豪である。25年春の九州大会で3-4と惜敗したチームには、平山ら2年生も出場していた。「強い」と肌感覚で分かるからこそ、東筑は“野球のチーム”で臨んだのである。
試合は平山の先頭バッターホームランにより、2500人を超える一塁側アルプススタンドの大応援団が沸く。ところが、3回のピンチでエース・深町光生の連続ワイルドピッチなどで逆転を許してしまった。最終的に1-5で敗れ、30年ぶりの校歌は響かなかった。
東筑の“野球モード”の本気度は、試合後にこそ鮮明に映し出されていた。

