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「僕の中にはまだまだ何か足りない」コベントリー坂元達裕が語る5年ぶりの代表復帰と、プレミア昇格への渇望
posted2026/03/14 20:00
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山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
コベントリーの坂元達裕は、「サッカー人生の集大成」との意気込みで今季終盤戦を戦っている。去る3月14日、チャンピオンシップ(2部)第38節サウサンプトン戦(1—2)後に言っていた。
「僕は、プロになってから大きなものを何も成し遂げたことがない。優勝とか、昇格とか、カップ戦でも(タイトルを)獲ったことはないですし、なかなかうまくいかない時期を、もがいてもがいて乗り越えながら、なんとかここまでステップアップしてきた。(残る2カ月で)僕に何ができるのか、チームとして何ができるのか、何を達成できるのかが凄く大事になる」
29歳の右ウインガーは、穏やかな調子でゆっくりと話す。その目元に感情を覗かせながら。例えば、サウサンプトンの右ウイングで先発して2得点に絡んだ、松木玖生に触れた時。
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「22歳の若さで、このリーグで戦えていることが本当に素晴らしい。あの年代で、ここのリーグでしっかりと試合に出て経験を積めることがどれほど価値があるか、僕は遅くにこのリーグに来て凄く感じるので、羨ましいなとも思います。明るい未来が待っていると思うので、頑張って欲しい」
敗戦後も、後輩にエールを送る彼の目は優しかった。対照的に、連勝が「6」で止まった自軍に関しては、キリッと目元を引き締めて言った。
「勝つべき試合だったと思います。転機はミドルズブラ戦だったと思いますけど、大一番でしっかりと勝ちをもぎ取って今に戻ってきているので、今日みたいな負けもあるとは思いますけど、どうチームとしてリアクションできるかが大事だと思うし、今の僕らにはできる自信がある」
「転機」とした一戦は、リーグ戦で2勝しかできなかった昨年末からのスランプを、首位奪回で抜けた2月半ばの第32節(3—2)。坂本は、瞬時のターンと、切り返しも鋭いドリブルで3人をかわし、アシストのアシスト役として先制点に絡んだ。
最大の功労者は、指揮を執るフランク・ランパードになるのだろう。気運を生み出したのは、リーグ2(4部)で受け継いだコベントリーを立て直した、前任のマーク・ロビンズ(現ストーク監督)だが、ランパードも、24チーム中17位に落ちていたチームを、昨季のプレーオフ準決勝進出を経て、今季は昇格争いのリーダーへと進化させた。
ランパードと言えば、プレミア得点数歴代7位(177)の元攻撃的MF。少年時代、あまり海外サッカーを観ていなかったという坂元も、「知っていました。真ん中(のポジション)でもゴールを決められる選手で、世界のレジェント的な存在」だと言っている。だが監督としては、守備の責任も果たすハードワークを、攻撃陣にも要求する。坂元としては、望むところだ。昨季最終節で、プレーオフ(3~6位)進出を決めた時点で言っていた。
「監督は攻撃の選手だったかもしれないですけど、守備に凄く気をつかう。細かい部分で指示を出してくれる。僕を含めて、ウイングの選手が守備のスイッチを入れるところが多くて、守備の流れとして凄く大事な部分になっていると思うので、それはかなり求められています」
その指揮官は、自身の輝かしいキャリアの根底にもハードワークがある。20年ほど前のことになるが、彼の生家に父親のフランク・シニアを訪ねた際、少年時代の“ジュニア”は、「ピッチ上をジョギングシューズで走るわけじゃないだろう?」という、元イングランド代表DFでもある父の意見を汲み、学校とチーム練習から戻ると、スパイクを履いて近所にある芝の広場を走っていたと聞いた。決して天才タイプではなかったが、人一倍の努力で、持てる力を最大限に伸ばしてきた人物なのだ。
そんなランパードという監督の魅力を尋ねると、坂元は次のように答えた。
「もちろん素晴らしいことも、そして苦しいこともいろいろと経験してきていると思うので、僕らの気持ちも多分、誰よりもわかっていると思う。サッカー選手として一番大事なのは、沈んだ時にどうリアクションするかだと思うんです。そこで戻ってこられる選手が、上に行くと。監督は常にそれを言っていましたし、(首位を快走した)前半戦の時期がずっと続くわけではないっていうことも。僕らは監督を信じていましたし、そこ(好調時)に戻れると信じていた。気持ちの部分は大きいと思うので、士気をしっかりと上げてくれる監督に凄く感謝しています」
これは、前述のサウサンプトン戦後のやり取りだが、今季最後の代表ウィーク前だったことから、5年ぶりとなる日本代表復帰への思いにも触れてくれた。
「そこに対しての目標というか、入りたいっていう気持ちは少なからずありますけど、とにかく今年は、チームとして昇格することだけを目標としてやってきている。もちろん、入れたら嬉しいですけど、入れなかったらそれなりの理由があるのだと思うし、そこは僕も理解します。年齢も年齢ですし。自分がもっともっと絶対的な結果を残していれば、そこは自ずと見えてくる。僕は常に、自分の中にはまだまだ何か足りないって思いながらプレーしているんです。もっともっと結果を残せるようにやっていかなきゃいけない」
ひた向きな姿勢を貫く坂元は、「サカモトがウイングでボールを持てば得点の予感がする!」と歌われるチャントで、コベントリーのファンに称えられる。本人は先頃、クラブ公式YouTubeチャンネルで公開された映像で、コベントリーへの思いを語っているが、現契約は、30歳になるシーズンでもある来季末まで。次節、4月17日のブラックバーン戦で負けなければ、昇格の目標が達成される。来季はプレミアを戦うランパード軍で、日本人ウインガーが披露してくれるであろう、さらなる「集大成」が楽しみだ。
