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タイトル獲得を祝福されたのに「すいません…」なぜ高見泰地は“1年後奪われた”永瀬拓矢に感謝するか「人生終わりだ」4連敗後に救われた一通の連絡
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大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byKyodo News
posted2026/07/26 07:16
2018年の叡王戦、高見泰地と永瀬拓矢は八大タイトル戦で初めて相まみえた
結果は4連敗のストレート負け。愛着のある叡王位は1期で手放すことになった。そして永瀬にとっては、これが初のタイトル獲得となった。
「開幕戦がすべてでしたね。研究通りに進んで、中盤で△6五桂という、藤井(聡太)さんもほめてくれた会心の手を指すことができた。生涯最高の一局になった可能性があったのに、終盤で自分の読みを信じることができずに敗れてしまった。その後はズルズルと崩れてしまいました」
完敗だった。
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永瀬に対して恨みがましいような思いは1ミリたりとも生まれなかった。
「前年の初の番勝負を前に不安な時期にはいろいろな棋士と指してもらったのですが、特に永瀬さんとはよく盤を挟んでもらいました。その練習将棋で、これなら頑張れるかなという気持ちを掴んで七番勝負を迎えることができたんです。それがなかったらタイトル0期の可能性も全然あります」
タイトルを懸けて争ったあとも、永瀬との縁が切れることはなかった。しばらくして、永瀬から「将棋を教えてください」と連絡があったのだ。
「ありがたかったです。本来は自分からお願いしなきゃいけないんですよ。でもストレート負けで自信を喪失していて、相手にされないだろうと思っていたんです。もちろん私から断る理由はないので、『ありがとうございます。よろしくお願いします』と返事をしました。あの時はタイトルを取られて人生終わりだなと思っていたけれど、また永瀬さんに教えてもらうことで自分を立て直して、順位戦もC級1組に昇級することができたんです」
奮い立たせてくれたのも、永瀬さんなんです
高見は叡王を獲得していながら、順位戦は最下クラスのC級2組を長らく這っていた。ネットの「C2叡王」という心ない揶揄に傷ついたこともあった。しかし高見はC級1組昇級に続き、翌年もB級2組に駆け上がったのである。
「自分の棋士人生を物語に例えると、永瀬さんに引き上げられて、タイトル獲得につながったのが前編です。そして永瀬さんにタイトルを取られて燃え尽きてしまったのが中編。さらにもう一度、奮い立たせてくれたのも、永瀬さんなんですよ。それが後編ですね。本当に大きな影響を受けていて、とにかく永瀬さんには感謝しているんです」

