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《ラグビー界と体操界の同学年レジェンド対談》初対面のリーチマイケルと内村航平が本音で語り合った競技愛「好きだから、続けられる」

posted2026/08/06 11:00

 
《ラグビー界と体操界の同学年レジェンド対談》初対面のリーチマイケルと内村航平が本音で語り合った競技愛「好きだから、続けられる」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto ©JRFU 2026 / Shiro Miyake

ラグビー日本代表・リーチマイケル(左)と現役引退後は体操の普及活動を行なう内村航平

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Kiichi Matsumoto ©JRFU 2026 / Shiro Miyake

誰もが知るラグビー界と体操界のレジェンド。選ばれし者しか背負わない重圧などを乗り越えて辿り着いた境地、競技への愛を語り合う。

――ラグビー界、体操界におけるレジェンドの2人は同学年です。リーチマイケル選手のほうからぜひ聞きたいことがあるとか。

リーチ 東芝ブレイブルーパス東京は国内リーグ3連覇の懸かった今季、結果がついてこなかった。世界大会で8連覇された内村航平さんに、どうやったらずっと勝ち続けられて、どうやったらずっと進化できるのかを教えてもらいたいと思っていまして。

内村 2連覇までは勝ちたい気持ちそのままに試合に臨んでいました。そこで優勝できたとはいえ、勝ちたい欲が自分の体を硬直させたり、いつもと違う技の感じになってしまったりしたので意識を変えたんです。練習では勝ちたい気持ちを前面に出しつつも、試合では抑えて練習どおりにやっていこう、と。一番になるために誰よりも練習して、試合になれば淡々といいパフォーマンスを出すことだけ考えてやっていくと、3連覇、4連覇と結果がついてきました。

リーチ 練習ではどのような意識を?

内村 人の何倍も練習する、そして人と同じことをやらないようにする。あとは体操という競技は4年に一度ルールが変わるので、誰よりもルールを理解することも大切にしましたね。(練習の)量、質、準備を少しずつ変えながら、常に前に進んでいけるようにしていたつもりです。

リーチ 自分も量、質にこだわっています。自分の体のキャパシティを広げていくには量がないといけない。広げておいてから、動きをシャープにして質を高めていく。量としては若いときよりも増やしていますね。

内村 体操は試合で失敗したら終わりなので練習から成功をたくさん重ねて、成功率が上がってきたら今度は質を高めていく。ここは共通しているのかもしれません。それでも37歳のリーチさんが今なおしっかり量もやっているというのは驚きですね。もし僕が現役を続けていたら量を増やすなんて想像がつかないです。

リーチ 練習はしんどいですよ。でもやらないとダメ。試合前には自信と不安の両方があって、不安をなくすには練習しかない。誰よりも練習をやったと思うことができればメンタルが楽になる。練習を楽しむくらいの余裕を持つのが理想です。そのためにも量をやっぱり上げないといけない。

内村 きついことをやらないと一番にはなれないと僕は思っています。でも「きつい」だけで終わらないように、そこを超えたら「気持ちいい」に切り替わりそうだなってところがあるんですよね。体がもう動かなくなりそうだけど、限界を超えてみて心から体操を楽しめている自分に出会える瞬間がある。ここまでやるから、試合でとんでもない演技が出たりするんです。

リーチ その気持ち、分かります。

内村 年齢が上がっていくと、体に痛みが出るところも増えてくるので若いときは簡単にやれていたことができなくなってくる。だけど、できたことができなくなるのも楽しいなと思っていました。つらいけど楽しいのと一緒で、要は逆転の発想。凄くプレッシャーの掛かる場面でも、こんな状況は自分しかいないと考えると、それはそれで面白いよなって。

リーチ プレッシャーがメチャメチャあるときのほうが、メチャメチャいい練習ができる。プレッシャーが弱まると、練習が雑になってしまう。同じような熱でやっていかなきゃいけないし、それは日本代表でもみんなに言うようにはしていますね。

内村 そういったプレッシャーを乗り越えられた一つの要因としては、体操を誰よりも極めたいという思い。結果じゃないところにフォーカスして、自分を高められたから足を踏み入れることのできた領域なのかなって何となく感じています。ただ、極められたとは思っていません。よくゲームのRPGを例に出すんですけど、レベル100で終わりかと思ったらまだまだ200まであったみたいな。終わりのないRPGをずっとやっているような感覚でしたね。

リーチ それなら内村さんが永遠のラスボスですね(笑)。体操は今も日本が一番。海外との差はどこにあるのですか?

内村 勤勉、真面目という日本人の気質はこの競技にすごく合っている気がします。あと真似ることがうまい。海外の選手が新しい技を発表しても練習して同じようにできてしまう。もう一つ言うと、基本の徹底を日本の選手はちゃんとしています。

リーチ ラグビーでも勤勉、真面目は日本の強さだと感じます。体が小さいのは弱点だと言われてきたけど、その分細かい動きができます。内村さんが言ったように逆転の発想ですよね。

――競技をずっと「楽しむ」「続ける」、そして「高みを目指す」。自分の経験から、なぜそうできていると思いますか?

リーチ 仲間をつくれるのがラグビーの特長。苦しいこともうれしいことも、勝つことも負けることも仲間と一緒に経験できる。そこに魅力を感じているので、自分の体をキープしたり、仲間と競争したりするのも含めて今も楽しめているし、長く続けられているのかなって感じますね。

内村 僕は3歳から体操を始めて、そもそも跳んだり、回ったりするのがとにかく好き。理由としては、以上なんです(笑)。その感情は小さいころから何ら変わらないからずっと楽しめたし、極めたいという思いもあってずっとやり続けられました。

リーチ 自分も同じですよ。この競技が何より好き、それが一番じゃないかな。

内村 僕、ジュニア世代の強化選手と一緒に合宿をしていても、凄く上手な子に対して「今の技どうやっているのか?」と普通に聞いていました。好奇心が止まらないので、ジュニアの子に教えてもらうことも全然恥ずかしいとは思わなかったですね。

リーチ 憧れている人から逆に質問されるのはその選手も嬉しかったはずです。

内村 僕自身、歩んできた経験を次の世代に渡していかなければならないし、体操競技が面白いんだということをいろんな人に広めていきたい。そういったことも僕の責任だと思っています。

リーチ 自分が意識しているのはやっぱり日本代表が憧れの存在であり続けること。そのためにはチームが勝たなきゃいけない。2015年、2019年のときに上がったラグビー人気が今フラットより少し下に行っている気もしていますから。

――リーチさんには来年、世界一を懸けた大きな舞台が待っています。日本代表への期待感もどんどん高まっていくと思います。

リーチ 日本代表チームしかやれない戦術を立てたり、ほかのチームがやっていない練習をやってきたりして今ようやくハマりつつある。前回はプール戦を突破できなかったけど、今回はいいところまで行けるんじゃないかっていう手応えがあります。おそらく歴代最強の日本代表になりますよ。

内村 これだけ長くやってきているリーチさんが「歴代最強」と言うくらいだから期待しかないです。そして何より同世代のアスリートとして頑張っていただきたい。僕もこの縁を大事に、リーチさんとラグビー日本代表を精いっぱい応援したいと思います。

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