獅子の遺伝子BACK NUMBER
「最も影響を受けた指導者は?」に栗山巧が即答…西武元監督と“壮絶打ち込み”で作り上げた打撃術…恩師が語る「たった一度だけクリを叱った出来事」
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市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2026/07/27 11:04
今季限りで現役を引退する栗山巧の若き日
同じ2002年にドラフト4位でライオンズに入団した栗山と、コーチに就任した田邊は師弟関係となったのだが、その練習は壮絶で、今でも球団内では伝説として語り継がれている。そして田邊は高卒ルーキーだった栗山と中村剛也を二軍時代に鍛え上げた指導者として知られるようになった。
田邊が栗山に課した「引っ張り禁止令」はメディアで取り上げられ、筆者も幾度か記事にしてきたが、改めて、入団した当初から最近に至るまで、栗山と積み重ねてきた思い出を聞いた。
感服した「全く変わらない姿」
昨シーズンの栗山は、一軍出場試合数は11。ほとんどの時間を二軍で過ごしている。三軍野手コーチとして所沢で若い選手の育成に力を注いでいた田邊の目に、昨季の栗山はどのように映っていたのだろうか。
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「僕が所沢で練習をしているときは、クリはいつも通り全体練習とは別に一人でマシンを相手にバッティング練習をしていましたね。これまでのクリと全く変わらない姿ですよね。あとは二軍の試合に出ない日は、室内練習場にこもってひたすらマシンを相手に打っている姿を見かけたこともありました」
田邊は三軍の練習に参加していたため、声をかけることがない日も多かったというが、「ちょっと話しづらい雰囲気」だったと振り返る。
「黙々と打っていたからね。クリの邪魔をしたらいけないなって思った。彼らしいスタイルですよ」
マシンと、そこから繰り出される白球と対話をするかのような、栗山だけの時間が流れていた。
「ライオンズでは珍しい選手」と語る理由
「昨年のオフに、2026年限りでの引退を発表しましたけど、昨年のシーズン中は全くそんな気配は感じさせず……。もちろんクリもしゃべらないし、私も聞かないし」
しかし、心中は察するものがあると語る。
「クリみたいに1年前倒しで発表するのは初めてのケースでしょうね。自分で『ここまで』と決めることによって、その最後の瞬間まで、彼なりに精いっぱいやるんだろうなとは思いました。宣言しても宣言しなくても、おそらくクリは最後まできっちりする。それが彼の流儀だとは思います」
田邊は栗山を「ライオンズでは珍しい選手」だと語る。
「というのも、ライオンズは黄金期も含めて天才型か、すでに出来上がっている選手が入団して、活躍するケースが大多数でした。もちろん練習もしましたけど、高い能力を持った選手が結果を残してきたチームです。でもクリはドラフト4位からのスタートで、言葉は悪いけれど不器用な選手。そんな彼がコツコツと練習を続けて、ここまでヒットを積み上げてきた。大したものですよ。よくぞここまで成長してくれたと思っています」


