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「村上宗隆はなぜメジャーの速球を打てるのか」NHK解説者も予想外だったホームラン量産の理由「際立つ対応力…シーズン70発すら期待させる」
text by

小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byNanae Suzuki
posted2026/05/06 11:03
村上のアーチ量産ぶりはNHK解説者の小早川毅彦氏も予想していなかったほど。活躍の要因を探ってもらった
日本時代から選球眼はいい選手でしたが、私が感心したのは、開幕からしばらくして打率が上がらず、スランプと見られていた時期のことです。打率が2割を切っていたときがありましたね。私もバッター出身なのでよくわかるのですが、打者心理としては打率を上げたくなるものなんですよ。そのためにはヒットを打たないといけないので、焦りが出てきて多少のボール球でも積極的に打ちに行ってしまいがちなんです。
ところがそういう時期でも、村上選手はしっかりとボールを見極めて四球を取っていました。四球もヒットも同じ出塁なんですが、フォアボールでは打率は上がらないので、つい打ちたくなる。そこを我慢できる。ルーキーという立場で、数字が欲しいはずですが、しっかりとボールを見逃していたあたり、さすがだと思いました。
ABSチャレンジシステムが追い風に
そこで一つ追い風になっていたのが、今季から導入されたABSチャレンジシステムです。これまで、MLBのルーキー打者にはアンパイアの洗礼というものがあったんです。どうしても新人にはストライクゾーンが広い。そんなに甘くないぞ、という感じでしょうか。イチロー選手や松井秀喜選手でさえ、メジャー挑戦直後はそれで苦労していましたから。
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ところがABSの登場で、大ベテランでも新人でもストライクゾーンが同じになったわけです。村上選手も2球続けてチャレンジを成功させた場面なんていうのがありましたが、このシステムのおかげで、ゾーンへの対応が早くできたという面もあるでしょうね。
対応力という点で私の印象に残っているのが、しばらくスランプと言われていた時期を抜けて放った、4月15日(日本時間)レイズ戦での第5号ホームランです。この一発、実は直前に空振りしたのとほぼ同じ球をホームランにしているんですね。同じボールに対して、バットの出し方をコンパクトに変えてきたんです。テイクバックを少し縮めて、バットが大回りしないように軌道を修正してきた。わかりやすく言うと、Nikeのマークです。村上選手は左打ちなので、左右逆ですかね。あの感じで、150kmを超える速球系のボールを見事にスタンドに叩き込みました。

