魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER
元大関・魁皇が疑問視する、相撲界のトレンド「筋トレのやり過ぎはダメ」“不調”安青錦には「足を痛めた話もあったが…」「稽古の番数を増やして」
posted2026/03/31 11:04
春場所3日目、安青錦が若隆景を攻め、押し出しで下す。安青錦は、今場所7勝8敗と初めて負け越した
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浅香山博之Hiroyuki Asakayama
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AFLO
関脇霧島が優勝して大関復帰を決め、めでたく終わった3月の大阪場所。優勝とはいえ最後がちょっと締まらなくて、尻すぼみになってしまった感はありますね。横綱豊昇龍と前頭5枚目の琴勝峰が二差で霧島を追いかけ、3人が優勝争いをしていて周りは盛り上がっていたけれど、14日目に琴勝峰が熱海富士に負け、霧島が安青錦に負け、豊昇龍が琴櫻に負けてと、なんと3人ともバタバタ倒れ、この時点で霧島の優勝が決まるという珍しいパターンだった。霧島は千秋楽も琴櫻に負けてしまい、連敗での優勝は、本人も、どこまで手放しで喜んでいいのかわからなかったんじゃないかな。
大関昇進は“早かった”のか?
霧島の大関昇進には「もう一場所様子を見てもいいのでは」との意見もあるかもしれないけれど、やはり優勝したことが大きいんです。優勝しなければ見送られていたかもしれない。昇進の目安は3場所合計33勝と言われていて、霧島は34勝。2場所前は平幕だったという点も指摘されるけれど、以前で言えば栃ノ心だとか、最近で言えば安青錦の昇進もそうで、前例を作ってしまっているんです。平幕が昇進の起点になっても、基本は上位陣と対戦した上での成績だし、あくまでも優勝が大きかったということでしょう。数字の目安はあくまでも目安でしかなく、今まで31勝や32勝で上がった例もある。良くも悪くも曖昧だけど、やはり中身が伴わないことにはダメなもの。その点、霧島は今場所はよく動いている印象で、場所途中から「今場所は行くかもな(優勝するかもな)」と思っていました。11日目、今場所元気があった豪ノ山の当たりをしのいで回り込み、土俵際の際どい相撲でもしっかり拾っていたりと、「運」も味方していましたよね。あと半歩っていうところで巧く残って、その後の流れを作っていける。
霧島というのは「こうなったら強い」というタイプではなく、いわば「勝ってる相撲がいい相撲」というか、つかみどころがないけど強いんですよね(笑)。もちろん多彩な技を持っているし、地力があるからこそ2年ぶりに大関に戻ってきた。それこそ「霧島が、なんで今、ここで優勝するの?」って思う人もいたかもしれないけれど、あまり目立つタイプじゃないし、派手さがないからなぁ。でも地味な力――地力があるからなんです。今年、30歳ということだけど、ちょうどいい年齢だとも思う。今の30歳って、まだまだこれからですからね。勝負に強い感じもあるし、今後は上を狙ってほしいですよ。
「足を痛めたなどの話も…」安青錦の不調
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豊昇龍は11勝4敗。前に出る圧力がもう少しほしいところです。前に出ている時は圧倒的に強いのに、それだけでは勝てなくて、14日目の大事な一番だった琴櫻戦などは、投げに行ってつぶされてしまった。立ち合いから当たっての力強さを見せることも今場所は何番かはあったけれど、もう少し気迫の相撲を増やさないとね。横綱に昇進するまでは「ここ一番の強さ」があったんだけれど……。

