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「龍一君の顔色をうかがって…」苛立つ木原龍一、じつは起きていた“りくりゅう最大の危機”…「ようやく巡り合えたパートナー」2人が取り戻した感情
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2026/03/08 11:00
木原が「スケートの楽しさ」を取り戻した、2025年の世界選手権
変化するきっかけとなったのは、全日本選手権だった。キスアンドクライでの自分の姿を反省し、こう考えた。
「楽しかったはずのスケートだったのに、いつの間にか『あれ、こんなつらかったっけ』って思いが変わって、もう一度『やっぱりスケートは楽しいんだ』ってことを思い出せて。自分の目標設定がたぶんあまりにも高すぎて、それをクリアできない自分に、少し絶望じゃないですけど、がっかりしている日々が多かったです。そこから目標設定を変えて、例えば『もう滑り切れればいいや』みたいな風に変えたことで、自分の気持ちがものすごく楽になって、全部気持ちもポジティブになりました」
「リュウイチが楽しんでいると、リクも笑顔になる」
シーズンの葛藤とそこからの変化を見守っていた三浦は、木原が葛藤を抱えていたときをこう語っている。
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「やっぱり龍一くんの顔色をうかがっていました」
そしてこう付け加えた。
「なんか楽しそうに滑っていると楽しくなる」
強固な信頼関係を築き、ともに歩むパートナーだから、一方のあり方は相手にも波及する。しかもキャリアも含め、引っ張っていく立場にあった木原の影響は、三浦にも大きい。
三浦は、ブルーノ・マルコットコーチからこう言われていたという。その言葉も示唆的だ。
「ブルーノ(・マルコット)コーチからよく言われるのが、『龍一にサポートをできる余裕があったり、龍一が楽しんでいる様子を見せたりしていると、璃来も笑顔になるんだよ』」

