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「“喧嘩を売る気ですか”と中原誠が」「師匠を破門に」ひふみん加藤一二三の珍妙エピソード…対局経験棋士の記憶「病床でも藤井聡太の棋譜を」
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田丸昇Noboru Tamaru
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/29 06:05
2016年12月、62歳差の対局を終えた加藤一二三・九段と藤井聡太四段
2017年6月20日。加藤九段は竜王戦で敗れ、最年長記録の77歳5カ月で規定によって引退が決まった。タイトル獲得は名人、十段、王将など計8期。通算対局は2505局(1位)、通算勝利は1324勝(4位)、通算敗戦は1180敗(1位)など、素晴らしい実績を積み上げた。自身のSNSで「天職である将棋に全身全霊を傾けて打ち込むことができ、幸せな棋士人生でした」と感謝の思いを述べた。
加藤は引退後、バラエティー番組やCMに出演、「ひふみんアイ」の歌で歌手デビュー、NHK紅白歌合戦で審査員など多彩に活躍し、「ひふみん」の愛称で親しまれた。2022年には政府から文化功労者に顕彰された。
病床でも藤井六冠の棋譜を
加藤は酒もタバコもやらず、健康状態は良かったという。90歳を過ぎても生き続けると思われた。しかし昨年11月に体調を崩して入院。菌に感染して肺炎と診断され、以後は入退院を繰り返した。家族の話によると、病床でも藤井六冠の棋譜を並べたり、詰将棋を作成していたという。今春にはオンライン講習会などが計画されていた。
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しかし1月22日未明、肺炎のため86歳で死去した。
盤上盤外で個性的に活躍した加藤が旅立っていった。天上では心の師と仰いだ升田幸三、何かと張り合った米長邦雄と対面することであろう。〈つづきは下の【関連記事】第1回へ〉

