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“奇跡のJ2残留”カターレ富山社長も「信じられなかった」名将・大木武の“決断”…J3降格ロアッソ熊本GMの後悔「富山の試合ですか? 今も見ていません」
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宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya
photograph byKATALLER TOYAMA
posted2026/01/23 11:07
昨季のJ2最終節で奇跡の残留を果たしたカターレ富山。殊勲のゴールをあげたのは18歳(当時)の高卒ルーキー・亀田歩夢だった
富山では89分、椎名伸志のボレーが相手に当たってコースが変わり、スコアを3-1とする。椎名にとっては、これがシーズン初ゴール。その直後、アディショナルタイムは6分と表示される。このときばかりは「6分もあれば十分」という自信が、選手たちの間でも完全に共有されていた。左伴が明かす。
「亀田が投入されたとき、これは『戦術・亀田』だと思いました。彼が入れば、みんなボールを預けるんですよ。相手を剥がすのが本当に上手い。しかも高卒1年目のくせに、妙に肝が据わっている。ピッチに入ったら、まず最年長の(河井)陽介のところに行って『ボールを握ったら、すぐに俺に出してください』と言っているんですよ。そういうタイプだから、きっと大仕事をするだろうなと思っていました」
「あれは全員が取らせたゴール」高卒ルーキーの劇的弾
その瞬間は、90+3分に訪れる。キャプテンの吉平からのパスを受けた亀田が、ドリブルで一気に加速してペナルティーエリアに侵入。相手DF2人を巧みにかわして、最後は右足を振り抜く。弾道は、そのままゴール右隅に収まった。
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「(吉平)翼がボールを出した瞬間、『行ける!』と思いました。いつもなら、もう少し自分で運んでから決定的な場面でパスを出すんです。でも、このときは『あとは頼む』という感じで、すぐにボールを手放した。このとき亀田は、ハーフウェイラインからずっと並走していて、いつでももらえるポジションを取っていました。相手DFが何人もいる中、それでもキャプテンは信頼して、ルーキーにラストパスを送ったんです」
4点目が決まった瞬間、DAZNのアナウンサーは亀田の名を連呼していた。値千金のゴールは、当人にとってもリーグ戦では初。そして富山の1試合4ゴールは、シーズンを通して最終節だけだった。「あれは全員が亀田に取らせたゴールでしたね」と左伴は振り返る。
「シュートの直前、翼はいつでもリターンを受けられる位置にいたし、松田力は相手DFをブロックしてコースを空けて、最後は相手GKの視界も塞いでいました。だからこそ亀田は、DFを2人外して決めることができたんです。点が入るときって、さまざまな条件がピタッと揃う。まさに各選手の努力が、見事に結実した結果だったんですよね」


