Sports Graphic NumberBACK NUMBER

正月の駅伝で予選会から3位に。順天堂大学陸上競技部はニューバランスとのタッグでさらなる高みを目指す

posted2026/01/16 12:30

 
正月の駅伝で予選会から3位に。順天堂大学陸上競技部はニューバランスとのタッグでさらなる高みを目指す<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

左から順天堂大学陸上競技部の川原琉人、石岡大侑、井上朋哉の各選手

text by

NumberWeb編集部

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

 進化した古豪が大学駅伝界に新たな風を吹かせた。正月の駅伝で総合3位となり、3年ぶりのシード権を獲得した順天堂大学。1秒差で予選会を突破した前回大会は、10位まで7秒差の11位と涙に暮れた。1秒の重みを再確認したチームは、今回往路6位、復路4位と躍進し、2022年の2位以来4年ぶりのトップスリーに返り咲いた。戦前に注目を集めていた青山学院大学、國學院大學、早稲田大学、中央大学、駒澤大学の5強に唯一割って入った下克上の裏には、総合優勝11回を誇る名門の進化した育成メソッドと、2021年からタッグを組む心強いパートナーの存在があった。

結果も大事だが道のりはより大事

 従来より「個」を重視してきた指導は、今もチームに根付いている。就任10年目の長門俊介監督(41)は「関東インカレや日本インカレなどの対校戦やワールドユニバーシティゲームズで上位を狙う者、日本選手権に挑む者、世界陸上を目指す者、そして箱根予選会や駅伝にフォーカスする者。それぞれの選手の個性や目標に合わせた取り組みというものは大事にしています。そういう意味では、各自が自分自身の立てた目標に向き合えたと思いますし、充実したシーズンでした」と今季を振り返る。数字として記録や順位をクリアすることも重要だが、それ以上に、そこまでの道のりに対して逃げずにアプローチできたかという点に重きを置いている。

 長門監督のコーチ就任以来、全長距離種目において、順大は日の丸を背負う選手を輩出している。3000メートル障害日本記録保持者の三浦龍司(SUBARU、'25年東京世界陸上8位)をはじめ、松枝博輝(富士通、'21年東京オリンピック5000メートル代表)、塩尻和也(富士通、'16年リオデジャネイロオリンピック3000メートル障害代表、'23年杭州アジア大会10000メートル5位など)、近藤亮太(三菱重工、'25年東京世界陸上マラソン代表)など。「箱根から世界へ」を体現するランナーたちは、長所を伸ばしながら、駅伝を通じて強さも磨いてきた。4人とも大学時代はチームの中心であり、エースという役割を担った上で羽ばたいていったが、今回の順大は違った。今シーズン、長門監督はあえて選手たちへ伝え続けたという。「現時点で『絶対的なエース』と言えるような選手はいない」と。

予選会は守りの走りで

 エース不在。厳しい言葉に聞こえるが、実際は期待の表れだった。「誰かに頼るのではなく、全員で戦っていこうと。他人事にしないで、『俺がやってやる!』と思える選手たちになってほしかった」と指揮官。今季のチームスローガン「挑戦」に加え、「全員駅伝」を掲げた順大にとって、11月の全日本大学駅伝は理想的な戦い方だった。区間賞こそいなかったが、2年ぶりの出場で8位となり、シード権を獲得した。2位で通過した予選会から2週間。夏のトレーニングの成果、そして確実に予選を通過するためにディフェンシブな走りをしたのもあってスタミナ面での余力があったという。

 ケガ人を抑えながら、継続的なトレーニングをできたからこそ、高い完成度で可能となった「全員駅伝」。正月の駅伝も区間賞こそいなかったものの、10区間中9区間で区間1ケタ順位をマークし、6区間で大学記録を上回った。長門監督は「選手たちがミスなく力を出し切れたことが大きい。各選手が想定以上の走りをしてくれた」と選手たちを称えつつ、「日頃のトレーニングはもちろん、夏合宿などでもニューバランスのシューズには非常に助けられました」と'21年から契約を結んでいるパートナーへ感謝。チーム唯一の4年生として2年連続9区を走った石岡大侑主将も「レースはもちろん、練習や用途に合わせてシューズの種類を選べるのはありがたいです」とニューバランスを信頼している。

 数あるニューバランスのシューズにおいても、順大の選手がよく履く主なシューズは6種類ある。クッション性に優れた「Fresh Foam X More v6」「Fresh Foam X 1080 v14」、地面からの反発をすぐ受け取ってスピード感ある走りに繋げる「FuelCell Revel v5」「FuelCell Propel v5」「FuelCell SuperComp Pacer v2」、そしてレーシングモデルの「FuelCell SuperComp Elite v5」。同社と契約している女子中長距離のエース田中希実(26)はトレーニング内容だけでなく、その日の動きや調子に合わせて10種類以上を使い分けている。

どのシューズも進化している

 4区8位の川原琉人(2年)は「自分の走りは腰に負担がかかりやすいんです。なるべく筋力を使って反発を得られるように、ソールが薄く反発性が少ないシューズを選ぶこともできるので、年間通して継続して練習することができました」と豊富な種類を選べることによってケガ予防につながることを実感している。京都・洛南高時代からニューバランスを使用している3区4位の井上朋哉(1年)も「元々ケガがすごく多かったので、安定感やクッション性の高いシューズを選べるのは、継続したトレーニングを積む上でも、とてもありがたいです。ジョグでは『More』や『1080』、試合を意識するような練習では『Elite v5』を使うことが多いですね。どのモデルもバージョンアップする毎に履きやすく、走りやすくなっているのがすごいと思います」とシューズの進化にも太鼓判を押した。

 石岡と川原、そして井上が正月の駅伝で着用したシューズは、レーシングモデルの「FuelCell SuperComp Elite v5」のニューカラー。今大会でニューバランスのシューズを着用したのは、この3人だ。石岡は「効果音をつけるなら『キュッキュッ』ていう感じなんです。こういうシューズは他にはなくて。カーボンの反発はもちろんなんですけど、最後まで蹴り足が残せるようについているグリップが個人的にはすごく好みです」。ルーキーながら各校のエース級と対等以上に渡り合った井上は「初出場でしたが、後半の苦しい場面でも『Elite v5』のおかげで地面からの反発を推進力に変えながら走ることができました」と唯一無二の相棒が快走の原動力となったと語る。

 ニューバランスのスポーツマーケティング部門で順大などを担当している川野竜男氏(41)は順大の理念「不断前進(現状に満足せず、常に高い目標を目指して努力し続ける姿勢)」の中に、同社の掲げる「Fearlessly Independent(君の強さは、君だ。)」を感じ、共に歩んできたという。「常に進化していくこと。独自性を持った革新を続けていくこと。そんなビジョンを描ける、ストーリーを作っていけるチームではないかと感じました」と契約時を振り返る。多くのメーカーが複数チームをサポートし、駅伝でのシューズシェア率を重要視している中、同社はチームサポートとしては順大のみ。シェア率についても大きくこだわらず、むしろ着用した選手への最大限のサポートに徹している。

順大とニューバランスはファミリー

「順大は大学陸上界では唯一無二の存在。ニューバランス全体で言えば、メジャーリーガーの大谷翔平選手や、国内なら田中希実選手と同じように考えています。サポート選手の人数、シェア率などの数字を意識していないわけではありません。ただ、アスリートやランナーを支える本質は忘れてはいけないと感じています。ブランドの精神でもある誠実さを大切に一緒に未来を歩んでいくことに注力したい。そんなファミリーのような関係を、ブランドとしてチームと構築できたらと考えています」

 総合5位以上という目標をニューバランスと共にクリアした順大。長門監督は「来年に向けて戦力は充実しているので、優勝を目指せるチーム作りをしていきたい」と自身と今井正人コーチ(41)らが果たした2007年以来12度目の優勝へ照準を合わせている。来年は2年生としてエース級の活躍が求められる井上も「ニューバランスと共に進化していきたい」と覚悟は固い。史上初となる2度目の3連覇を果たした青学大の壁は高いが、10区間中、9区の石岡主将を除く9人が来季も残る。川野氏も「トレーニングを安心・安全に行えるのはもちろん、トップ選手が求める新たなシューズが来季に向けて続々と出てきますのでワクワクしながら待っていてください」とニューバランスとしてもさらに追い風を吹かせるつもりだ。来春の20年ぶりのV奪還、タッグを組む順大とニューバランスの黄金時代が始まるかもしれない。

レースのために作られた、プレミアムなパフォーマンスを誇るシューズ。超軽量設計にカーボンファイバープレートと超高反発PEBAミッドソールを搭載し、ベストタイムを目指す一歩一歩をサポート。FuelCell SuperComp Elite v5 29,700円(税込)

ページトップ