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「偏差値67の進学校→国立大在学」の俊才が“まさかの競技”で世界大会「銅メダル獲得」…令和を生きる“ニンジャ”のウラ話「海外に出ていく必要が…」 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byTadashi Hosoda

posted2025/12/25 11:05

「偏差値67の進学校→国立大在学」の俊才が“まさかの競技”で世界大会「銅メダル獲得」…令和を生きる“ニンジャ”のウラ話「海外に出ていく必要が…」<Number Web> photograph by Tadashi Hosoda

日本のオブスタクルスポーツの第一人者である千葉大1年の山本遼平。世界の大会を舞台に活躍するため、国際系の学部で学んでいる

「日本にはニンジャ的な大会がないので、自分から海外に出ていく必要がある。そして、いずれ日本にニンジャ的なものを持ち込むこともしなきゃいけない。そのためには海外の文化を知ることや語学が重要になるので国際教養科を選びました」

進学した高校は「県内トップ級」の難関校

 千葉県内だけでなく都内も含めて国際教養科のある高校を調べた上で、山本が選んだのは千葉市立稲毛高校。現在は中高一貫校となって同科はなくなってしまったが、当時は県内の公立では偏差値トップクラスの難関校だった。

 とはいえ、どんな障害も乗り越えて突き進むのがニンジャである。というか、それに見合う学力を山本はすでに身につけていた。

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「国際系という看板を掲げていても、内容を比較してみると稲毛高校は本当にかなり力を入れているのがわかりました。学力的には稲毛高校ならばそれなりに余裕がある状態ではあったので周りに追い越されないようにしなきゃというぐらい。受験勉強をすごく頑張ったという感じではありませんでした」

 現代のニンジャは勉学をおろそかにしない秀才でもあった。

 高校生になると海外遠征もするようになり、徐々にニンジャとしての地歩が固まっていった。そのため大学進学では今度はある程度の自由度を求め、入学後に興味に沿った勉強ができるように千葉大の国際教養学部に決めた。

「最初はスポーツ系もいいかなと思ったんですが、この競技でスポーツ系と言っても大学に入ってできることがないと気づいたんです」

 オブスタクルスポーツの日本選手権が初開催されたのが2024年のこと。ニンジャ的な能力がいくら優れているといっても、スポーツ系の大学にその実績を認めてもらうのは容易ではなかっただろう。それに、こんな練習施設を備えている大学もまずない。

 そんなキャリアの話をしている途中で、山本はこんなことを言った。

「みんなが知っているような、目立つ競技でやっていきたいという気持ちもなかったわけではありません」

 疑問に思うのは『SASUKE』じゃダメだったのかということだ。ニンジャの源流であり、パルクールやボルダリングと比べても、世間的にアピールするだけならばこれ以上のコンテンツはない。

 そんな疑問をぶつけると、山本は困ったようにその胸中を話してくれた。

<次回へつづく>

#3に続く
「『SASUKE』はそんなに燃えないんです」現代日本“最強のニンジャ”が語るオブスタクルスポーツの現在「アメリカには800以上のニンジャ・ジムがある」
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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