ボクシングPRESSBACK NUMBER

「なぜ堤聖也を仕留めなかったのか」英記者が43歳ドネアに疑問…蘇った6年前の井上尚弥戦、引退説に「ツツミ戦が最後であってほしい」 

text by

杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

PROFILE

photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2025/12/20 06:01

「なぜ堤聖也を仕留めなかったのか」英記者が43歳ドネアに疑問…蘇った6年前の井上尚弥戦、引退説に「ツツミ戦が最後であってほしい」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

43歳とは思えないキレを見せたノニト・ドネア(左)

 私は2018年3月、グラスゴーでドネアに会った。ライアン・バーネットとワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)の1回戦を戦う前、7年ぶりにバンタム級に戻ると聞いて、正直、心配だと伝えた。だが彼は勝ち、さらに勝ち進み、イノウエとのWBSS決勝戦につながった。イノウエ対ドネア第1戦は、私がこれまでにライブで見た中では最高の試合だ。“モンスター”だけでなく、“フィリピーノ・フラッシュ”がいたからこその名勝負だった。私はその時、「たとえ負けても、もう二度とドネアを見限らない」と思った。それほどの戦いだった。

 時は流れ、ドネアは以降も印象的な実績を積み上げ、引退後は資格獲得初年度での名誉の殿堂入りはもう確実だ。だからこそ、私はツツミ戦が最後であってほしいとも願っている。健康を損なってほしくない。素晴らしい家庭があり、人としても素晴らしい。ボクシングという競技の偉大なるアンバサダーだ。人生を楽しんでほしい。

 ただ、ドネアのことは誰にも予測できない。彼はこの競技が大好きだ。ツツミとの戦いも、「勝てた」「引き分けだった」と言える内容だった。もし流れ次第でベルトを狙える状況になれば、また戻ってくるだろう。バンタム級が活況を呈している日本では常に歓迎される。私が望むことと、“フィリピーノ・フラッシュ”本人が望むことは、まったく別だ。だから、復帰しても私は驚かない。そして、私にできるのは彼のキャリアを最後まで静かに見守ることだけだ。〈全2回の後編/前編も公開中〉

#1から読む
「10年前のドネアだったら…」激闘王・堤聖也vs43歳ドネア死闘12ラウンドを英国人記者はどう見た?「ツツミは幸運だったと思う」

関連記事

BACK 1 2 3
#堤聖也
#ノニト・ドネア
#井上尚弥

ボクシングの前後の記事

ページトップ