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[哲学者の教え]イビチャ・オシム「悩んだら苦しい方に」

posted2025/11/20 09:00

 
[哲学者の教え]イビチャ・オシム「悩んだら苦しい方に」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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J.LEAGUE

日本サッカーを変えた偉大な師が逝去して早くも3年。薫陶を受けた“チルドレン”は指導者へと羽ばたいた。ムードメイカーと主将だった2人が当時の秘話と立場が変わって改めて感じるその凄みを明かした。

〈私の言うことを信じるな〉

 そう平然と言い放つイビチャ・オシムに対し、接した人間はなぜか誰もが惹きつけられた。独特の方法論とサッカー哲学を持つ監督にして、人間としてのスケールの大きさを兼ね備えた人格者。オシムの一般的なイメージである。だが、選手がトレーニングで言われた通りのことをすると、この言葉をもってして怒られるのだった。

 オシムが日本で監督を務めたのは、ジェフユナイテッド市原(当時)の監督に就任した2003年1月から、脳梗塞で倒れて日本代表監督を辞任した'07年11月までである。その間にオシムは、とてつもなく大きなものを日本に残した。サッカー観は未来を先取りし、驚きでしかなかったプレーのコンセプトは、多くが今日のサッカーのベースとなっている。インテンシティやトランジションという概念が、まだ専門用語として存在していなかった時代に、それをピッチ上で具現して見せたのがオシムだった。

 その薫陶を強く受けたのが、オシムチルドレンと言われた当時のジェフの選手たちである。すでにみな現役を退き、あるものは指導者としてピッチに立ち、あるものはクラブ運営に関わっている。

 彼らの心の中で、オシムは今も生き続けている。だが、その実像は、現役時代に感じていたものとは同じではないだろう。とりわけ指導者となったものたちにとって、オシムと同じ側に立つことにより、初めて見えてきたことがあるハズである。

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