「正直、野球をできるメンタルではなかった…」DeNA蝦名達夫28歳が悲劇を乗り越えて1番に定着した“覚悟”「恩返しのためにも日本一連覇を」 

　ただこれまでトライするも、なかなか自分のスタイルとはマッチせず悪戦苦闘していたが、ここに来てようやく形になってきたということだろうか。そう問うと蝦名はしばし考え口を開いた。

「何て言うんですかね。追い込まれる前までは自分の楽なポイントで打ちたいですし、左足前のポイントで打てればベストだと思っています。そこで捉えられればボールも飛んでいきますし、必然的に長打も増えると思います。ただ……」

やっぱり引きつけて見極めるのが大事

　そう言って間を置くと蝦名は決意をするような口調で次のように言った。

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「僕としてはやっぱり引きつける感覚の方が大事だと思っているんです。なぜなら僕は1番として出塁することが求められています。フォアボールもそうですが、引きつけて見極めないと選球眼にもつながらない。あくまでも長打を求めるのは、しっかりと出塁率を確保した上でだと考えています。だから今季は去年とは違い、追い込まれても慌てることなく冷静にボールをしっかりと見られていると思います」

　あくまでもボールを引きつけて見極める。今季の四球は31個。この数字は勝負を敬遠されがちな佐野恵太や筒香嘉智に次いでチーム内で3位の数字だ。相手投手からしても、ミート力のある現在の蝦名に甘いボールは投げられず、際どいコースを攻めざるを得ないので必然的に四球は増えていく。

1番打者としての決意

自らが長打を放つこと以上に、出塁し、得点することを重視する　©Naoya Sanuki

　リードオフマンとしての矜持。ここ数年の蝦名は出場機会を得るために「何番でもいい。チームの力になれれば」と語っていたが、入団当初は走力も持ち合わせているため「1番を打ちたい」と熱っぽく口にしていた。様々な経験をし、ようやく望んでいたポジションを手に入れつつある。

「今はとにかく出塁率ですね。チームの打線を見たときに、長打を打てるバッターはたくさんいるので、とにかく僕はコツコツ塁に出ることが仕事だと思っています。だから今は、リードオフマンがしっくりきていますね」

　そう言うと蝦名は表情を緩めた。

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