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[MJ戦徹底分析]京口紘人&岩佐亮佑「打たせず打つ」という衝撃
posted2025/09/27 09:00
巧みに距離を取り、前に出たいアフマダリエフを翻弄した井上。試合中には時折笑顔を見せる場面もあった
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Toshiya Kondo
試合前から井上尚弥は「判定勝ちでもいい」と話していたが、予想はできなかった。今年7月に引退を表明した元世界2階級制覇王者の京口紘人は、同じ1993年生まれでプライベートでも親交のあるモンスターの戦いぶりに舌を巻いた。
「脱帽しました。僕は丁寧に削りながら終盤のラウンドにKOすると思っていたのですが、判定でもそれ以上のパフォーマンスでした。世界トップのムロジョン・アフマダリエフを相手に想像を超える完勝。これまでにあまり見せなかった戦い方で、いつも以上に多くの引き出しを使っていました」
前半から目を奪われたのは、距離の取り方である。重心は真ん中に置き、上体は少し後ろ寄り。前足は相手の前足近くで調整し、ジャブの差し合いで上回っていた。ここ最近の試合とは、明らかに違った。
「リスクを取ってKOを狙いに行っているときは、重心がもう少し前でした。今回は丁寧にポイントをピックアップしていく姿勢が、足のポジションからも見て取れました。半歩遠いようなイメージです」
距離が変われば、ディフェンスの方法が変わってくるのも必然。相手のパンチを受け止めるブロッキングよりも距離とボディワークで空振りを誘っていた。これがまた会場を盛り上げたのだ。5回終わりのインターバル中に鼻先ぎりぎりで相手のフックをかわすスロー映像がIGアリーナのモニターに流れたときには、1万6000人の観客からどよめきが起きた。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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