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「僕が今までやってきたチームと違う」クリスタル・パレス移籍の鎌田大地、リーグカップ戦で“6番”として新境地

posted2024/09/23 06:00

 
「僕が今までやってきたチームと違う」クリスタル・パレス移籍の鎌田大地、リーグカップ戦で“6番”として新境地<Number Web> photograph by Getty Images

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 象徴的な場面は後半19分に訪れた。9月17日、クリスタル・パレスの鎌田大地としては、移籍6試合目に当たるリーグカップ3回戦(2-1)。クイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)から勝ち越し点を奪ったシーンのことだ。ミドルを放ったエベレチ・エゼへのアシストは、中盤中央で先発した日本代表MFによるものだった。

 もっとも、試合後に本人の話を聞くまでは、運も味方した得点シーンという認識でしかなかった。“記録上”のアシストも然り。

 もちろん、シュートは打たなければ決まらない。40メートル近くを上がって自ら狙ったエゼには、チーム最大の武器としての責任感があったと言えなくもない。その11分ほど前にリードを帳消しにされていたパレスは、2部勢との対戦で格差を見せつけていたとは言えない内容だったのだ。

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 とはいえ、ボールがゴールに吸い込まれた最大の理由は、相手DFに当たって大きく変わった弾道にある。2ボランチを組んだジェフェルソン・レルマからのパスを、ハーフウェーライン付近に落ちていたエゼにワンタッチで届けた鎌田のパスも、まだゴールまで遠い地点での“ラストパス”だった。

 だが鎌田自身は、アシストがついたことを知って「そうなんですか?」と苦笑しながらも、次のように言った。

「相手が点も入れて前から来ている時間帯で、キーパーがしっかりボランチにつけて、僕からエブス(エゼ)っていう、チームとして狙っていたことがしっかりできて、そのまま点につながった。点が入ったのも良かったですし、その過程が凄く良かったかなと思います」

 個人的には、前半38分のプレーの方が印象に残っていた。結果的には、惜しくも通らなかったスルーパス。右アウトサイドに開いて絡むと、素早くウイングバックのダニエル・ムニョスを裏に抜けさせようとした1本は、鎌田らしいトライだと感じられた。

 筆者のなかで、高い位置で得点に寄与する彼のイメージと、攻撃の引き出しを増やす即戦力としての期待が強過ぎるのかもしれない。1ゴール1アシストの活躍を見せた前ラウンドもそうだったように、オリバー・グラスナー体制下の3-4-2-1システムでは、やはり2ボランチではなく、トップ下の1角を務める方が効果的なのではないかと思えた。

 この日の鎌田は、開始早々4分にルーズボールを拾ってからのシュートで、チーム1本目のCKを奪ってはいた。だが以降、アタッキングサードで展開に絡む頻度は減る方向に。前半24分には、プレッシャー下の自軍ボックス内からダイアゴナルパスを放ち、カウンターの起点となる姿も見られはした。しかし、その前後には、QPRの左ウイングとして先発していた斉藤光毅を止めようとしてファウルを取られ、イエローをもらう姿も見られた。

 後方からフィードを受けても、前につける選択肢がなく、度々バックパスを余儀なくされていた。攻撃面では、41分に右インサイドを駆け上がったもののパスは来なかったランが、前半最後のアクション。後半に入っても、ボールに触れることすらままならなかった5分過ぎの時間は、本人にすれば実際の2分間ほどよりも長く感じられたのではないかと思っていた。

 それでも当人は、パレスでの6番役に好感触を得ていた。

「やっぱりボールに触れる回数もあるし、ボールを奪ったりもしやすい。後ろから出ていく方が、多分、得点のチャンスとかも増えてくると思うので、後ろのほうがいい感触はあります。自分が(持ち場を変わって)抜けてからボールを回せなくなっているし。今日は、特にアダム(・ウォートン)も出ていなかったので、そうやってできる選手がいなくなった。トップ下で出ても、なかなかボールに触れなかったりすることもあるので、僕としては6番のほうがやりやすいかなと」

 パレスに加入した鎌田と、鎌田を得たチームは、まだまだ互いに適応中の段階にある。であればこそ、前述のチーム2点目にも、第三者の目に映る以上の価値があった。

「僕が今までやってきたチームと違って、コンビネーションで崩すというよりも、エブス(エゼ)だったり、個の部分で結構崩している感じがある。エブス自身も、コンビネーションでやるようなタイプじゃないし。自分たちにとって一番のストロングポイントは、間違いなくエブスだったり、JP(ジャン=フィリップ・マテタ)だと思うので、そういう選手を活かして、(自分も)活かしてもらえるような感じで、自分自身が10番で出るならそういう場所を見つけないとダメだと思うし、6番で出ると、後ろを助けながらタイミング良く前に出たりとかもできると思う」

 この俯瞰的な視点は、移籍2か月目の新顔でありながら頼もしくもある。

「(過去の試合で)僕が10番で出ていたのも、(バイエルンに移籍したミカエル・オリーズの)代えの選手が獲れなかったり、最後の最後にエディ(・エンケティア)が入ったり、昨季良かった流れでやったりだとか、いろいろと試していたタイミング。今、リーグ戦で勝てなくて、試行錯誤しながらチームとしてやっていると思う。監督とはフランクフルトで2年やりましたけど、開幕ダッシュできた年はなかったので、(今季も)1回勝てればチームとして良くなっていくと思う。カップ戦でもズルズル負けたりせずに勝てたというのは、凄くチームとして大事なことかなと思います」

 そのカップ戦勝利で、鎌田個人の出来は10点満点中6点といったところだろう。しかしながら、肝心の本人にとっては、及第点以上に意義のある93分間だったことになる。

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