Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
[パワーピッチャー最前線]100マイルの向こう側
posted2025/08/08 09:00
大谷翔平 SHOHEI OHTANI Los Angeles Dodgers 17
text by

丹羽政善Masayoshi Niwa
photograph by
Yukihito Taguchi
4月半ばのこと。まだ肌寒い日が続いた東海岸遠征から戻り、ロサンゼルスの暖かい日差しの中でブルペンに入った大谷翔平は、クラブハウスに戻るや否やTシャツ姿となって刀掛けがあるロッカーを背にして椅子に座ると、リラックスした表情でスマホを手にした。
――きょうは、95ぐらいですか?
ブルペンでの最速を聞くと、「100っす」と大谷。
――じゃあ、復帰のときには105ですかねぇ?
そう返すと、今度は苦笑しながらつぶやいた。
「105になったら、復帰しようかな」
たわいもないやり取りだったが、実際に投手復帰したいまとなっては、その言葉にリアリティが伴う。6月16日の復帰初戦でいきなり100.2マイルをマーク。同28日のロイヤルズ戦では101.7マイルというメジャーでの自己最速を記録した。
もっとも、目指しているのはスピードだけではない。大谷、ポール・スキーンズ(パイレーツ)、タリク・スクバル(タイガース)、スペンサー・ストライダー(ブレーブス)らいまのメジャーを代表するパワーピッチャーは、一様に100マイルを超える球で相手を抑え込む力を持ちながら、球速には頼らず、むしろ真っ直ぐの質を意識し、変化球にも日々、微調整を加えている。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り: 3122文字
NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。
