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「3浪しました」“本気で東京藝大を目指した”異色の経歴…玖麗さやか25歳はなぜプロレスラーに?「練習生時代は“できない組”」スターダムで花開くまで 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/07/19 17:01

「3浪しました」“本気で東京藝大を目指した”異色の経歴…玖麗さやか25歳はなぜプロレスラーに?「練習生時代は“できない組”」スターダムで花開くまで<Number Web> photograph by Essei Hara

スターダムで活躍する玖麗さやか(25歳)。藝大志望からプロレスラーへと転じた異色の経歴を持つ

 玖麗は前日との内容のギャップに戸惑ったという。「プロレス違うかもな」という思いが頭をよぎった。だが、すぐにビッグマッチを見に行くことになった。

「10月1日に武蔵野の森で『5★STAR GP』の決勝。メインが中野たむさんとジュリアさん。試合を見て、私もここに立つ人になりたいと思った。ビビッときて、プロレスめっちゃやりたい! って。オーディションの募集をしていたので、その帰りの電車でスマホにいろいろ入力して、部屋で全身写真を撮って送りました」

運動経験なし…「できない組」だった練習生時代

「なぜプロレス? って言われますが、感動したら、自分もやってみたいと思っちゃうんです。ミニモニもそう。将来の夢、何十個もありましたから。何だろう、自分と同年代の女性が活躍して、リングの中で戦っている衝撃。こんなかわいくてキラキラで強いってあるんだ。始めるなら早い方がいいと思っちゃいました。その時、22歳。様子見なんかしていたらすぐ23、24になっちゃう。今応募しないと、この人たちは上に行って、みんな強くなっちゃう。まだプロレスラーになっていないのに、選手たちに強いライバル心が湧きました」

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 プロレスに対する恐怖心はなかったのだろうか。

「痛そうだな、とは思いました。全力で殴ったり、頭突きしたり。でも大人になって、こんなにリングを駆け回るなんてないじゃないですか。人生でこの先、こういうものに出会えるか。痛そうだというのにビビった部分よりも、そっちのほうが強かった。自分も痛いことするから、されても仕方ないし」

 オーディションに合格した玖麗は、2023年2月末の初練習に臨んだ。だが、そこでアクシデントに襲われる。

「練習初日、カーフレイズで肉離れ。ふくらはぎです。運動経験ないからそれが肉離れってわからなかった。筋肉痛かと思って休まなかった。休みたくないというのもありました。(ビクトリア)弓月、(八神)蘭奈、梨杏、辞めちゃった子もいましたけれど練習を休むと置いていかれる。多少痛くても頑張るかって。ネットには『しごき』とか書いてあって、怖いって思っていました。親にも心配されて、『大丈夫?』と。でも、それはなくて普通でした」

 本格的なスポーツ経験がないため、練習生として「つらかったことはいっぱいある」という。

「プロテストも1回落ちました。負けず嫌いな性格だから周りとの差を自分で余計に感じるんです。ランニングも梨杏と一番後ろを走っていた。『もっと本気で走って! こんなんじゃだめだよ』と言われましたが、本気でやっていました」

【次ページ】 「頭真っ白」憧れだった上谷沙弥とのデビュー戦

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