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「正直、日ハムに怒りもあった…」糸井嘉男が語る“12年前の電撃トレード”真相「おい、体張っていくぞ!」オリックス移籍後に叫んだ魂の本音
text by

田中大貴Daiki Tanaka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/09 11:05

2013年1月、会見で意気込みを語った糸井嘉男(右)と八木智哉。日本ハムとオリックスの間で大型トレードが成立した
――打席は覚えてますか?
どうだったかな。試合になると球団のことは考えないですからね。でも、日ハム戦のデータを出してください。たぶん僕めっちゃ打ってると思いますよ。(4月12日の初戦は1打数無安打3四球。2013年対日本ハム戦は92打数33安打17打点、打率.359でいずれもパ・トップの数字)
――成績を振り返ると、オリックスに移籍してからキャリアハイの数字を残しています。
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それはやっぱりね、トレードされてやってやろうという気持ちでしたし。あと僕ね、ほっともっと(フィールド神戸)が大好きでした。いい思い出がいっぱいある。
――2014年には優勝争いも経験しました。
2位でしたね、優勝したかった。オリックスの4年間は僕の野球人生ではかけがえのないもので、もう一度、アスリートとしての本能を奮い立たせてもらえた時間だったというか。
「甘えてたと思います」
――もし、あのままファイターズに残っていたらどんな選手、どんな人間になっていたと思いますか?
甘えてたと思います。3割打って、30盗塁して、ゴールデン・グラブ賞も取れて。なんとなく「この成績ぐらいでええかな」と思ってたんですよ。ちょっと満足してたというか。球団はそういうところを見ていますよね。ポテンシャルはあるのに、勝手に限界をつくっていることがわかっていたと思うんです。実際、そうだったので。オリックスに行ってから盗塁王を取れましたし、首位打者も取りました。(日ハム時代は)盗塁はね、本当に30個できたらいいやと思っていたので。でもオリックスでは50個(正確には53個)やりましたから。
――つまり、糸井さんにとっては「トレード」はプラスだったと?
僕はプラスに思ってます。言われた瞬間はすごいマイナスかもしれないんですけど、球団からも言われた通り、選手のことを考えてのトレードだと思うし。最近もトレードがありましたが、外から見ると「あ、これは選手にとっていい移籍だな」と思うことは結構あります。やっぱり移籍っていうのは、選手にとってプラス。というか、正解にしないといけない。仲間も増えますし、球団によって仕組みが違うんで、いろんなことを知るのも面白かったです。
――もし、トレードではなく、ポスティングでMLB移籍が実現していたら、どんな野球人生になっていたと思いますか?
うーん、ドジャースタジアムで暴れてたかな……(笑)。まあそれは冗談ですけど、でもエージェントから具体的な話もあったので可能性はゼロではなかった。ただ、やはり年齢がネックでした。もう20代ではなかったので。
――なるほど。そういう話を聞くと、35歳でMLBに挑戦した菅野智之投手はすごいことですね。
ほんまにすごいですよ。単年契約とはいえ、すごいことです。やっぱり日本のエースとして先頭に立ってきたピッチャーですよ。