スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER

「功労者を切り捨てるな」ラグビー界を揺るがすカテゴリー問題…元日本代表・田中史朗が怒りの訴え「これでは日本のために尽くした選手が報われない」 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byYuki Suenaga

posted2025/07/10 11:00

「功労者を切り捨てるな」ラグビー界を揺るがすカテゴリー問題…元日本代表・田中史朗が怒りの訴え「これでは日本のために尽くした選手が報われない」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

ラグビーリーグワンが発表したカテゴリー改正について疑問視する元ラグビー日本代表・田中史朗氏。身を粉にして戦ってきた仲間たちへの“配慮”を求めた

 大学から日本へ留学してきた他国出身の選手たちや、若いうちから日本でのプレーを選択した選手たちが各チームで主力を占めるようになり、日本出身の選手の出場機会が減少していった。そこから問題が派生していき、将来性が見込まれる大学生がラグビーを引退し、一般企業を選ぶという現象がここ2、3年増えていた。日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチも、「名前は明かせませんが……今年、U23で指導した選手たちのなかで、2〜3人は一般企業に就職しようとしていました」と嘆いていた。

 田中は言う。

「今回のルール改正で競技を続けようとする学生がひとりでも増えたら、うれしいです。それが日本のラグビーの土台、礎になっていきますから」

新しいカテゴリーの登場

ADVERTISEMENT

 では、どんな見直しが行われたのだろうか。ポイントは「A-2」と呼ばれる新カテゴリの登場だ。

カテゴリA−1:小中学校の義務教育9年間のうち、6年以上を日本で過ごした選手
カテゴリA−2:上記以外で、他協会の代表歴がなく、日本協会における48カ月以上の継続登録がある選手

(なお、A−2の要件を満たす選手のうち、日本代表キャップを30以上持つ選手はA−1に分類。日本代表に多大な貢献をした選手に対する優遇措置)

 この新しいカテゴリ分けが、実際にどのような影響を及ぼすかというと、試合のメンバー登録、出場枠にかかわってくる。

●試合エントリー枠
旧:A 17名以上 B&C 6名以下(なおかつCは3名以下)
新:A−1 14名以上 A−2&B&C 9名以下(なおかつB&Cは6名以下、Cは3名以下)

●同時出場枠
旧:A 11名以上 B&C 4名以下(なおかつCは3名以下)
新:A−1 8名以上 A-2&B&C 7名以下(なおかつCは3名以下)

 これまでカテゴリAだった選手のなかで、日本代表キャップが29以下の場合、出場機会が限られるということなのだ。つまり、職場の減少。田中に解説してもらおう。

【次ページ】 田中史朗が怒った「功労者」への配慮

BACK 1 2 3 NEXT
#田中史朗
#リーチ マイケル
#エディー・ジョーンズ
#ヴァル アサエリ愛

ラグビーの前後の記事

ページトップ