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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「“正義感”が強い男なんです」DeNAローワン・ウィックの武器は剛球よりもメンタリティー「三浦監督が抗議する姿で自分も闘争心が燃えたんだ」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/06/02 11:07
ピンチに強いメンタルが武器と自認するウィック。仲間のために熱くなる「正義感」の持ち主だという
ウィック自身に一番のストロングポイントはどこかと尋ねると、迷いなく「メンタリティー」だと答えた。
「先ほどの野手経験の話に繋がるんですけど、バッターがいかに打つのが難しいかを理解しているので、すごく強気でマウンドに立てるんです。自分はどんな打者でも必ず打ち取れる、と思いながら投げることができています」
昨年の“三浦監督激怒事件”と似たピンチで…
ウィックと言って忘れられないのが、昨年の8月27日の阪神戦(横浜スタジアム)だろう。3点リードの7回表、2番手としてマウンドに上がったウィックは連続四球と安打で無死満塁のピンチを迎えてしまう。
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そのとき投手交代を告げるためベンチから出てきた三浦監督にウィックは降板を拒否するそぶりを見せ、指揮官を激高させてしまった。あってはならないことではあるが、ウィックの責任感とメンタルが発露した場面でもあった。
そして今年5月16日のヤクルト戦(神宮)、2点リードの9回裏、ウィックは連続四死球で無死満塁としてしまう。昨年とよく似たシチュエーションで、再び三浦監督がベンチから出てきた。指揮官を目で追うウィック。しかしそれは投手交代ではなく、死球を受けた打者の岩田幸宏が2ストライクから見せたバントの構えが、ハーフスイングで三振ではないのかといった審判への抗議だった。
確認が終わると三浦監督はきびすを返しベンチへ戻り、ウィックはそのままマウンドを任された。
監督が抗議してくれて闘争心が燃えた
「あのとき三浦監督がベンチから出てきて、審判のジャッジに抗議してくれる姿を見て、もっと頑張らなければいけないと闘争心が湧いたんです」
その後、牧秀悟や蝦名達夫の好守もあり、ウィックはピンチを切り抜け、今季初セーブを挙げている。
DeNAでの日々をメンタルに長けたカナディアンは噛みしめるように語る。

