「久しぶりに出てきた左のパワーピッチャー」巨人6年目の井上温大（23歳）が覚醒…元中日の左腕エース・今中慎二が絶賛する「ピッチングの秘密」とは 

「今日に関しては素晴らしかったので、こういうピッチングを続けるようにね」

　阿部監督が珍しく井上に苦言を呈することなく、こう褒めたのは中日戦の試合後のことだった。その上で阿部監督は今後の井上の成長につなげる要素として、こんなことも語っている。

「（これから）打たれて点を取られることもあると思うんですけれど、そこで最少失点で何とか凌げるようなピッチャーになって欲しいと思います。調子が悪いときこそどうするかも。自分で一年を通して学んで欲しいなと言うのが僕の気持ちです」

2勝目をあげた中日戦後、4番の岡本和真とともにお立ち台でインタビューを受ける井上　©︎Hideki Sugiyama

阿部監督の期待「左の本格派エースへ」

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　去年の先発ローテーション入り後も、ベースカバーの遅れや少し気を抜いたピッチングが見えると、即座に苦言を呈していた。今季も4月15日のDeNA戦では勝ち投手となったが、最後の7回2死から松尾汐恩捕手を2ストライクと追い込みながら二塁打を許したことに「簡単にアウトを取ろうとしないで、一歩引いて投げていかないと勝ち切れなくなる」と指摘している。

「それだけ阿部監督の期待値が高いということですよ。それがエースにしようということです。そうじゃなかったら褒めて終わりですから。彼のようなタイプのサウスポーは今のセ・リーグはあまりいない。（DeNAの）東（克樹投手）も左のいいピッチャーですが、ちょっとタイプは違う。久しぶりに出てきた真っ直ぐで押す左のパワーピッチャーですから」

　球界に久々に現れた左の本格派エースへ――阿部監督だけない。今中さんの期待も井上が投げるたびにどんどん膨らんでいるのである。