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「キムにチャンスはほぼない…でも」井上尚弥の挑戦者“ナゾの韓国人ボクサー”の素顔を知るモロニーが証言「代役として最高の相手だよ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byJIJI PRESS
posted2025/01/22 11:00
井上尚弥戦を控えるキム・イェジュン(32歳)。過去、日本人選手に7戦全勝の成績を残している
スパーリングパートナー、トレーニングパートナーのことはあまり話しすぎたくないですが、先ほども言った通り、キムは力のあるボクサーだとは思います。井上陣営は、試合2週間前に準備できる代役選手としては最高の相手を呼び寄せたのでしょう。ただ、キムが対戦するのは世界最高のボクサーです。私は現時点で井上に勝てる選手は同階級には存在しないと思っていて、正直に言えば、今戦でもキムにはチャンスはほとんどないと見ています。井上が簡単に勝つと思いますよ。
もちろんそれでも、キムはできる限りすべてのことをやらなければいけません。これほどの機会なのだから、単にサバイバルを目指すべきではないのでしょう。井上を相手に何を試みるべきかと問われたら、やはり「アグレッシブに戦い、果敢に攻めること」だと答えます。最初の3〜4ラウンド、全力で攻め込み、パンチを振り、波乱を狙うべきでしょう。井上相手に落ち着いて構え、アウトボクシングでポイントを奪うなんてことが可能とは考えられません。打ち合いこそが彼にとって最善の策だと思います。
繰り返しになりますが、キムには馬力とパワーはあります。ルイス・ネリが昨年5月、井上戦の初回にダウンを奪ったという例もありました。だからキムもこの千載一遇のチャンスに賭け、必死に攻め込むといった形でダイスを振り、ボクシングの歴史上最大級の番狂わせを狙いにいくしかないのでしょう。
◆1月20日、井上尚弥戦を控えるキム・イェジュン本人への電話取材が実現した。後編ではその模様をお届けする。