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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「天才肌って思われたいのに…(笑)」TVのクイズ企画で“ガチ予習”、人気女子レスラーなつぽいの「スポ根みたいな清々しさ」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/12/29 11:03
バラエティ番組では“意外な一面”も見せるスターダムの妖精・なつぽい
「天才肌って思われたいのに…」
そう考えると、コラコラ問答が知的好奇心の芽生えだったのか。いやそうではないだろう。なつぽいの話を聞いていると、プロレスについて考えるのが本当に好きなんだなと思わされる。
たとえば「フェアリー」がつく代名詞的必殺技は6つあり、飛び技、投げ技、丸め込み、関節技と偏りがない。技のヒントを探す作業は日常だ。
「プロレスの動画を見て気になった場面をメモしたり、スクショして保存してますね。格闘技のテクニック動画も面白いんですよ。同じスリーパーとか腕十字でも、いろんな入り方があって」
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実はこの探究心こそが、なつぽいの“芯”なのだろう。「天才肌って思われたいのに」と笑いながら「でも研究するのは好きです」。
技や動きだけでなく「感情のインスピレーションを映像からもらうこともあります」となつぽい。
「やっぱり昔の全女(全日本女子プロレス)ですよね。“この人たちリアルに嫌い合って潰し合ってる”っていうのが伝わるんです。髪の毛の掴み方ひとつとっても違う。
スターダムの選手はうますぎて、髪の毛を掴み合っても“形通り”に見えてしまわないかなって。本当は形はどうでもよくて、感情のリアルさを忘れないことが大事ですよね」
なつぽいがリングで出したい“リアルな感情”
試合前に全女の映像を見て自分の気持ちもシンクロさせ、荒んだ気持ちのままリングに上がることもあるそうだ。
「私はそういう試合をしなさそうに思われてるかもしれないですけど、リアルな感情は大事にしてます」
それは、もともとの自分にはない部分だからでもある。
「試合をしても、相手を妬むとか恨むみたいなことが根っからなくて。スポ根っていうのか、結果が出たら清々しく」
学生時代、バトントワリングで全国大会の常連だった。採点競技だからか、相手を「やっつける」とか、それこそ「潰す」みたいな感覚になった経験もなかった。
「だからなんですかね。タイトルマッチが決まって険悪なムードになって、言葉でも激しくやり合って……みたいな展開は、私の中でリアルじゃないんです」