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「鉄道テロで飛行機が10万円超」「プレスセンター、しょぼい」取材記者が明かす“トラブル続出”パリ五輪取材ウラ話「でも治安は意外と…」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2024/12/23 11:05
フランス各地を回ったサッカー取材記者が見たパリ五輪は、華やかさと少々違う印象だったようで……。
電車がやってきたのは結局7時半を過ぎていた。徹夜明けの早朝4時半ごろから3時間、駅で電車を待つ辛さを想像してみて欲しい。ようやく乗ったTGVでは爆睡、リヨンまであっという間に到着した。
じつは鉄道トラブルよりツラかったこととは
そんな数々の不可抗力のトラブルに振り回されたパリ五輪だった。だが、なによりも辛かったのは、フランスの暑さだ。
日中は30度を超えることもあったが、日本の猛暑に比べれば暑さ自体は大したことはない。だが、私が選択したほとんどの宿泊先に冷房がなかったのだ。長期間取材の場合、ホテルよりも民泊もしくはアパートメントスタイルのホテルを選択する。洗濯と冷蔵庫、最小限のキッチンを備えている利便性が、ホテルよりも重要なためだ。だが“フランスでのエアコン普及率は?”とAIに尋ねてみるとだいたい1、2割だそうで、ほとんどの民泊にはエアコンはついていないのだ。部屋の中で一番涼しい場所を探し、床に座り込んで作業した。疲労は蓄積し、体力は削られていった。
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そんな様々なトラブルもチームが勝利さえしてしまえば辛くもなんともないのだが――大岩ジャパンはどうにかたどり着いたリヨンでスペインに敗れ、疲労は倍増した。負けた後の取材は、案外気が重いものなのだ。翌日にはなでしこジャパンもアメリカに敗れ、日本サッカーのパリ五輪は終了。あっけない終幕だった。
パリのプレスセンター…しょぼい
男女の日本代表が敗れた後、ようやく落ち着いてパリのメインプレスセンター(MPC)を訪れることができた。スタジアムからスタジアムへのドサ回り、渡り鳥生活は終わり。日本代表はいないが、数日間パリにとどまることができる。だが、このMPCがシンプル、簡素、言葉を選ばず表現するなら……しょぼかった。
過去に取材した五輪のMPCは、作業に追われる記者たちのために美容室やジム、シャワールーム、クリーニング店、郵便局などが併設されていた。仮にMPC内で徹夜しても問題ないほどだったが、今回はその手のサービスは一切なし。今回のMPCは街中の便利な場所に作られたため、実際に必要はなく、さらにSDGsをうたった大会でもあったため、極力余分なサービスを削ったということだろうが、やや寂しさを覚えてしまった。
パリの印象は、人が少なかったという点に尽きる。