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「大谷翔平もフリーマンも、山本由伸を信じていた」パドレスとの第5戦“先発までの内幕”…「ヨシノブ・ヤマモト」がドジャースの救世主になった日
posted2024/11/20 11:00
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
JIJI PRESS
戦犯か、救世主か。
ドジャースにとって、そして山本由伸にとっての分岐点は、雌雄を決した地区シリーズの第5戦、本拠地でのパドレス戦だった。
“第5戦の先発”を明言しなかったロバーツ監督
10月5日、第1戦の先発という大役を任された山本は、ファンの期待を裏切った。初回の立ち上がり、マニー・マチャドの2ランなどで3失点。2回に大谷翔平の3ランで追いついてもらったが、直後の3回にザンダー・ボガーツに2点二塁打を浴びて勝ち越された。3回5失点KOと屈辱的なマウンドだった。
「厳しいところ、厳しいところを狙いすぎてカウントが悪くなった。すごく良くなかったが、冷静に考え直してプラスに変えたい」
チームが勝ったのは救いだったが、表情はこわばっていた。その様子を近くで見ていた大谷は「結構、落ち込んでいた」と話した。
その後、チームはパドレスに追い詰められた。第2戦は大敗。第3戦は2回に大量失点し、1点差まで詰め寄ったが、惜敗した。だが、後がなくなった敵地での第4戦、先発から救援で繋ぐ「ブルペンゲーム」で臨んだチームは投打で圧倒し、8対0で大勝。最終第5戦にもつれ込んだ。
第4戦の試合後、「ブルペンゲーム」がはまったデーブ・ロバーツ監督は、第5戦の先発を明言しなかった。「まだ決まっていない。また同じ作戦でブルペンゲームにする可能性もあるし、(ジャック・)フラハーティ、山本の可能性もある」と煙に巻いた。
じつは会見前に決まっていた「先発は山本由伸」
普通ならば、中5日と十分な休養がある山本の出番だ。しかし、チームも監督も、第1戦で打たれた山本に全てを託すという空気にはなっていなかったようだ。
第4戦の翌日の10月10日、両チームはドジャースタジアムに移動して練習日が設けられた。
通常ならば、この日は第5戦の先発投手が会見を行う。パドレスからはダルビッシュ有が出席した。だが、ドジャース側は、午後3時の会見に大谷が出てきた。
この時点で、ドジャースは先発を公表していなかった。大谷の後に会見したロバーツ監督も、先発は「まだ検討中」だとした。関係者によれば、チームは大谷の会見前に山本の先発を決めていたというが、発表したのはこの日の夜だった。