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「ユウキは大きく成長した」名将ブランが語る男子バレー日本代表の未来…石川祐希をキャプテンに指名「私の仕事はユウキにスペースを作ることでした」
posted2024/11/01 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
NIKKAN SPORTS
発売中のNumber1106号に掲載の[恩師からのメッセージ]フィリップ・ブラン「ふたりはまだまだ成長できる」より、内容を一部抜粋してお届けします。
――監督、お久しぶりです。すでに韓国で仕事を始められているのですね。
「オリンピックが終わってから5日だけ休み、今度はソウルにやってきました」
――ほとんど休んでないじゃないですか。
「やらなければならないことが山積みです。組織をオーガナイズし、問題点を指摘し、改善しなければなりません。しかも、新しいシーズンは目の前に迫っていましたからね」
――ところで、韓国の食事はいかがですか。
「とにかく辛い! 辛すぎます。でも、焼き肉は美味しいですよ」
祐希は技術もリーダーシップも大きく成長した
――さて、パリでの夏の経験を話していただかなければなりません。準々決勝のイタリア戦、なんとも悔やまれます。
「とても悲しい体験になりました。私はひとつの大会が終わると、すべての試合を見直し、長所と短所を洗い出すのです。今回、私は初めて日本の試合を振り返る作業をしなかった」
――それは、なぜですか。
「韓国リーグの試合を見なければならなかったという事情はあるにせよ、どうしたことか、そういう気持ちになれなかったのです。ただし、イタリアと互角の試合を展開できたことは誇るべきことですし、準々決勝ではありましたが、オリンピックのバレーボール競技のなかでも、ベストマッチのひとつだったと感じています。ただし……」
――なんです?
「私のコーチングキャリアで、総得点で上回っているのに敗れた試合は初めてだったのですよ」
――なんという……。それでも、選手たちは最高の働きを見せたと思います。特に石川祐希はオールアウトしたんじゃないでしょうか。彼はあなたが指導者になってからの7年間で、驚異的な成長を見せました。
「その通りです。祐希は今季からセリエAの名門、ペルージャでプレーしています。このクラブでプレーすることは大きな名誉であり、祐希はそれにふさわしい実力を身につけたということです。その土台となったのは肉体です。7年前の時点で、彼はトップレベルでプレーする準備は出来ていましたが、ケガに悩まされていました。そこで村島(陽介)トレーナーと一緒に世界最高峰で戦える体へと変えていったのです。そのうえで、彼には戦略的技術を向上させる必要がありました」
――具体的にはどんな技術ですか。