電子チケットが主流のアメリカで、今や紙チケットの流通は皆無のはずなのだが、なぜか市場にはこの日の紙チケットが溢れている。おそらく50号を達成した後に業者や居合わせたファンが大量に購入したものが市場に流れているのだろう。

「もう使えない半券に意味があるの？」

　普通の人たちはそう思われるかもしれないが、日米問わずチケットコレクターが一定数存在するのだ。なお筆者は紙チケットで、イチローがジョージ・シスラー氏のシーズン最多安打を更新する258安打を打った2004年10月1日のチケットも保有している。大谷とイチローがメジャーで前人未到の大記録を打ち立てた記念すべき1日の記憶を、大切に保管していきたい。

イチロー2004年シーズン最多安打更新試合チケット（左）と2024年大谷翔平50-50達成試合チケット（右）。チケット番号は「16」（WBC背番号）、「17」（現背番号）とコレクターとしてささやかなこだわりが ©Aki

本当は現地の空気・熱気を採取したかったけど

　でも、紙チケットや第1回で触れたトレーディングカードだけでなく——本当は「50-50達成時のスタジアムの空気・熱気」を現地で採取したかった。

　こう記している間にも、大谷は初のポストシーズン初戦で自身初となる3ラン本塁打を放ち、大谷しか描けないストーリーを更新している。

　次こそ行こう。現地観戦こそ、どんなメモラビリアよりも尊いのは間違いないのだから。＜第1回からつづく＞