思わず「よし！　隆の勝、行けっ！」

　新関脇の大の里は、いい相撲と悪い相撲の差がハッキリし過ぎ。負けた相撲が悪すぎるし、押し相撲の相手にヤラレちゃってる。脚が長くて腰の位置が高いからなんだけど、まだ入幕して4場所目。苦手意識を持つ前に、幕内上位に慣れるまでは、あごを引いて体を丸くすることを意識していけばいいと思うよ。

　10勝して初の三賞を受賞した新小結の平戸海。若隆景や大栄翔とか、身長が同じくらいの大きさの押し相撲の相手には、苦戦してヤラレちゃうんだ。まっすぐ当たって逃げないきっぷのいい相撲が身上だけど、珍しく大の里戦ではちょっと逃げたね。相手が大の里だったから今回は許してやる（笑）。上位で戦うには、まだ体が軽いけど、かと言って体重を増やせばいい相撲スタイルでもない。今後も頭を付けて細かい相撲を取って行けば、そこそこ勝てるし、面白い存在でいてくれるはずだと期待してるよ。

　優勝決定戦まで持ち込んだ隆の勝。今場所はよかったねぇ。決定戦では両腕が入ってしまったけれど、そこはハズに押して行けばよかったんだ。立ち合いからの流れはよかったし、思わず「よし！　隆の勝、行けっ！」と、僕も一瞬喜んでしまったもの（笑）。今場所は平幕の前頭6枚目の位置だったけれど、そこは元関脇。地力はあるし、まだまだ大関イケるぞ！　隆の勝――愛称おにぎりクンが頑張ってくれなかったら、名古屋場所も盛り上がらなかっただろうし、座布団3枚あげたいな（笑）。そう、危険だから館内の座布団は投げるもんじゃないからね。

14日目、隆の勝（右）は照ノ富士を寄り切りで破る。12勝3敗で優勝決定戦まで持ち込んだ　©JIJI PRESS

　来年の名古屋場所は新しいアリーナで開催され、こけら落としともなるんだって。とにかく、猛暑のなかで足を運んでくださったお客さんに感謝し、お相撲さんたちもお疲れ様。そして愛知県体育館も、お疲れ様でしたっ！

（構成＝佐藤祥子）