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「ハセは戦友であり、家族」大久保嘉人が今も“怪人”長谷部誠に感謝する理由とは? 手料理は“ザ・日本のカレー”「あれはうまかったなぁ」
posted2024/06/24 11:15
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
AFLO
【初出:発売中のNumber1098号[2009年のヴォルフスブルク]大久保嘉人「愛と絆のカレーライス」より】
怪人ハセベマコトの正体
怪人。大久保嘉人の記憶の中で、一番最初に思い浮かぶ長谷部誠の姿だ。
2009年、ヴォルフスブルクの本拠地フォルクスワーゲン・アレーナの近くにあった大久保の自宅リビングでは、いつもこんな光景が繰り広げられていた――。
当時、幼稚園児だった大久保の長男・碧人くんが、嬉しそうに駆けまわっている。腰には、お気に入りの仮面ライダーベルト。全力で変身ポーズを決めて、鋭いライダーキックを放つ。すると、怪人ハセベマコトが「うわぁ~」と叫び、ド派手に倒れる。何度も何度も繰り返される戦闘シーンを、大久保夫妻は優しく眺めていた。
「この間の引退試合の後も、ハセは父親の顔になっていましたけど、当時から子ども好きでね。遊ぶのもすごく上手だから、碧人も喜んで。いつも『ハセ! ハセ!』って、なついていましたよ」
4人でご飯を食べて、家族のように過ごした
15年前の冬、大久保はヴィッセル神戸からヴォルフスブルクへ移籍した。当初は一家3人でホテル暮らしをしていた。シーズン途中の加入で右も左もわからない中、練習場までは凍結した道を運転しなければならない。そこに手を差し伸べたのが、前年からこのクラブに在籍する長谷部だった。
「運転も慣れているから『一緒に行きましょう』って、ホテルまで迎えに来てくれて。俺はドイツ語を全く話せないから、練習中のコーチや監督の指示もハセが通訳してくれた。あいつがいてくれて、俺自身も、家族にとっても本当に助かったんです」
大久保が自宅を見つけてホテルを出てからは、妻・莉瑛さんが作る夕食を毎日食べに来るようになった。たまのオフに出かける旅行も一緒。長谷部がハンドルを握り、大久保が助手席、莉瑛さんと碧人くんが後部座席に座った。