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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
高校野球部vs高校サッカー部「全国で部員数が多いのはどっち?」高校生が選ぶ部活、こんなに変わった「10年間で40%減…“消滅可能性”部活とは?」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/14 17:29
高校野球部vs高校サッカー部、部員数が多いのはどっち? 甲子園地方大会の参加校は19大会連続で減少しているという
■男子ラグビー部
2013年 1089校 2万3972人
2023年 863校 1万7037人
加盟校は21パーセント減、登録人数は29パーセントの減少となっている。減少幅が他競技と比べて大きい。
残念なことだが、W杯での日本代表の感動的な戦いは、競技人口の増加にはつながらなかったことになる。
これは私見だが、かつてラグビー部は「高校から始める部活」という印象が強かった。しかしいまでは、全国大会に出場するのはラグビースクールからプレーを始めた選手が大半を占める(花園に出場する学校の選手名鑑を見ると、すぐに分かる)。
どうやら、ラグビーは高校から気軽にエントリーできる競技ではなくなってしまったようだ。特に公立高校の状況は厳しい。
2019年度には埼玉で高い進学実績を誇る浦和高校が花園に出場したが、公立男子校で生徒数が一定以上確保できたからこその偉業だった(埼玉県はいまだに男女別学の公立校が存在する。私の故郷、宮城県は別学から共学にシフトし、部活動の数が減った)。
高校でのエントリーに多くの期待ができない以上、各地域でのラグビースクールの有無が競技人口に大きな影響を与えそうだ。スクール、強豪校が存在する一部の地域の競技になりつつあるのは否めない。
「10年で40%減も…」“消滅可能性”部活
ラグビーのように10年間で20パーセント以上も部活動の場が減ってしまい、そしてその減少幅が継続してしまうとしたら――。
消滅の可能性が出てくる。
4月には、「消滅可能性自治体」のリストが公表された。
これは、民間組織「人口戦略会議」がまとめたもので、2020~50年の30年間で、子どもを産む中心の年代となる20~39歳の女性が半数以下となる自治体は「消滅可能性」があるとした上で、全体の40パーセント超の744自治体が該当すると分析している。
自治体が消滅する可能性があるというなら、「消滅可能性部活」が出てくるのも、この国の流れである。
ラグビーの先行きを心配したが、数字を調べていて不安を覚えたのは、日本のお家芸とされてきた競技の減少幅が大きいことだ。