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「イノウエは危険だ…恐怖心がある」ネリが思わず語った本音…取材記者が見た敗者ネリ“意外な素顔”「井上尚弥は過大評価されている」発言のウラ側

posted2024/05/09 17:15

 
「イノウエは危険だ…恐怖心がある」ネリが思わず語った本音…取材記者が見た敗者ネリ“意外な素顔”「井上尚弥は過大評価されている」発言のウラ側<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

5月6日、井上尚弥vsルイス・ネリ。筆者は来日から2週間、ネリを取材した

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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Hiroaki Yamaguchi

井上尚弥に真っ向から勝負し、派手に散った“問題児”ルイス・ネリ。来日から2週間、ネリを追い続けた取材記者が見た敗者の“意外な素顔”。【全2回の前編/後編も公開中】

◆◆◆

 思わず時計を二度見た。4月23日、12時45分。13時からの公開練習が始まる15分も前に、“悪童”ルイス・ネリが姿を現す。大幅な遅刻は当たり前で、最悪はドタキャンまで想定していた。帝拳ジムに詰めかけたメディア70人以上の予定をも狂わせてこそ、悪童であるはずだ。

 ネリはパイプ椅子に深く腰をかける。かかとまで床につけ、背筋は伸び、膝もきちんと揃えられている。3度のあくびも、律儀に顔を下げながら、であった。

メキシコ人「ネリの人気度は高くない」

 編集者からオーダーを受けたのは試合の3週間前だった。「来日から井上尚弥との試合当日まで、ネリを追いませんか? ボクシングに詳しくないからこその『見え方』があると思うので」。はっきりいって無茶ぶりである。筆者はふだん野球記事をメインに担当しており、井上尚弥が日本史上最強のボクサーであること、次の対戦相手がいわくつきの男であることしか知らないのだ。

 井上尚弥とネリについて急ピッチで調べなければいけない。長年ボクシングを追うライターや、日本在住のメキシコ人らに話を聞いてみたところ、この試合の論点は概ね次のようにまとめられた。

「ネリはドーピング違反と体重超過の前科を持つ問題児である」
「かつて日本ボクシング界のエースだった山中慎介に勝ったことで、こと日本におけるネリの知名度は高い」
「ネリは粗削りだがパワーがあるボクサー。井上が優位も一発で展開が変わる怖さもある」

 意見が割れた部分もあった。井上とネリというマッチアップに対する見解だ。「ネリだからこそ、井上の対戦相手として東京ドームを埋められる」と日本の関係者は口を揃えた。対してメキシコ人の見方はこうだ。「ネリは(同じメキシコ人ボクサーの)カネロやクルスの人気、知名度には遠く及ばない。そんなネリの試合が日本で盛り上がるのは不思議だ」。

 ネリを追う中で見えてきたことがある。

【次ページ】 「恐怖心がある」ネリの“本音”

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