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ラグビーPRESSBACK NUMBER
元日本代表選手のラグビーアカデミーが発達障害の選手を受け入れて感じたリアル…「予想外だった」チームメイトの“意外な反応”とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byElite Rugby Academy
posted2024/04/25 11:04
Elite Rugby AcademyのHCを務める廣瀬慎也教諭(左)は特別支援学校での経験も。自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けているアカデミー生の正田信也さん(右)
アカデミーが体験参加を積極的に受け入れてきたことも奏功した。子ども達は知らない子の練習参加に慣れており、誰でも歓迎するチーム文化ができていた。
楽しむことを重視したスキル特化型の練習スタイルもよかった。
大会出場がないアカデミーは、勝利の追求と無縁だ。グラウンドにあるのはこの瞬間をエンジョイすることに紐付いたコーチ陣の声掛けと、プレーに熱中する子ども達の熱気だ。
12月1日に2度目の体験参加を終えた信也さん。アカデミーの空気感は「いつもの生活と比べると別の世界」(信也さん)だったが、練習後、両親に言った。
また行きたい。会員になりたい。
「体験は2回行って、すごく緊張したんですけど、ガチガチしてなくて、すごく良いなと思いました。もっとハードかなと思っていた。でもコーチが優しく教えてくれます」
正式にアカデミー生となり、その後1回、2回、3回と参加を重ねた。本人の気分が乗らず練習参加が1時間遅れた時もあったが、コーチたちは温かく迎え入れてくれた。
「このチームは子ども達が楽しそうにしています」
毎回練習を見守ってきた父・直紀さん。いま練習を眺める心持ちは穏やかだ。
「このチームは子ども達が楽しそうにしていますよね。失敗をして怒られるということもありません。特性があることを良い意味で気にしていない感じもします。
信也は特性があるので、みんなと同じペースで『この練習をしましょう』『一緒に走りましょう』が苦手です。このチームのように、他の子と合わせなくても許容してもらえるのであれば非常に参加しやすいと思います」
信也さんの参加によって、チームはポジティブに変化したという。
君島代表が「クラブとして前進しました」と話せば、廣瀬ヘッドコーチは「良いことしかありませんでした」と語った。